2025.01.23 インドの電子・半導体市場、2030年に1000億ドルの需要予測
V・べラパン会長
インドにおけるエレクトロニクスおよび半導体の業界団体「インド電子・半導体協会(IESA)」のV・ベラパン会長が、電波新聞社のインタビューに応じた。「インド政府は電子産業における生産強化策を推進しており、インド国内の半導体消費は30年には1000億ドルを予測している」と語り、好調な電子産業が半導体需要を押し上げているとの考えを明らかにした。
ベラパン会長はインドの電子市場の現況について、今後10年間、インドの電子・半導体市場は劇的な改善が見込めると語り、その要因の一つとして地場企業タタ・エレクトロニクスのウエハー生産が本格化するため、と分析。また政府が電子産業回復策を推進していることも市場改善の要因になるという。
インドでの半導体消費は急拡大
ベラパン会長はインドの電子工業の現状について、「電子製品の現在の市場消費は1500億ドル規模だが、30年までには4000億ドル規模まで拡大する」と述べ、国内の半導体消費も現在の300億ドルから30年には3倍以上の1000億ドル市場へ大きく拡大すると予測する。
その理由として、べラパン会長はインドが「電子システムの設計と生産」つまりESDMと呼ばれる分野の誘致に取り組んでいることから、大きなポテンシャルが出てくると分析。電子情報技術省(MeitY)が最近公表した年間報告について触れ、電子製品のインド国内生産額は17~18年度の3兆8800億ルピー(約600億ドル)だったのが年を追うごとに拡大、22~23年度は8兆2500億ルピー(約1001億ドル)へと年率平均16.3%の伸びを示した。この要因としてべラパン会長はインド国内市場の拡大、熟練工の増加、低コスト労賃などを挙げた。
インド国内での半導体製造エコシステムの構築目指す
インド国内の電子産業発展に伴い、電子部品の輸入も拡大。ベラパン会長は「インドは半導体チップから受動部品まで、さらにあらゆる部品を輸入しているが、いずれ自立できる市場にしたい」と述べた。
インドの目下の課題はサプライチェーンの構築。政府も投資やインフラ構築に全力を挙げており、べラパン会長は「エコシステムの完成は時間の問題」と述べ、政府の努力に期待。昨年、タタ・エレクトロニクスが東京エレクトロンの協力を得てグジャラート州ドレラに国内初の300㎜ウエハー工場建設を発表している。同工場は台湾のパワーチップ(PSMC)との合弁でパワーマネジメントIC、ディスプレイドライバー、MCUなどを生産する。総投資額は9100億ルピー。
タタ・エレクトロ二クスは、北東部のアッサム州ジャギロードにも半導体の組み立てとテスト工場を建設する。ベラパン会長はこうした半導体工場が27年には生産開始すれば、インドの半導体生産に活気をもたらすと期待する。
新たな半導体工場建設計画も
べラパン会長によると、インド政府は今年2、3の半導体工場投資を発表する計画があるという。どの国からの投資も差別なく歓迎するというのがIESAの方針と語っている。昨年は、インド国内で初めて半導体製造装置・材料関連の展示会「SEMICON India」が開催されるなど、半導体業界でもインドに対する期待は高まっている。今後もインドにおける投資や半導体関連の動きから目が離せない。