2025.01.24 「4~5年で一人前を目指す」 半導体業界、若手の本音 エイブリック③

左から平賀さん、阿江さん、鈴木さん、王さん

 今、成長分野として注目を集めている半導体業界で働く若い世代の声を届ける企画。アナログ半導体の設計・製造・販売を行うエイブリックの若手4人にインタビューを行った。全3回のうち3回目となる今回は、それぞれが見据える未来や業界全体の課題について語ってもらった。
 
【ご協力いただいた若手社員の皆さん(五十音順)】
阿江和音(アエ・カズネ)さん   3年目 デバイス開発を担当
鈴木涼太(スズキ・リョウタ)さん 4年目 半導体製造を担当
平賀康弘(ヒラガ・ヤスヒロ)さん 2年目 設計・開発を担当
王佳藝(ワン・カゲイ)さん    2年目 設計・開発を担当

「今はがむしゃらに」

―皆さんのキャリアプランを教えてください。

 平賀さん アナログICの技術者は5~10年で一人前と聞いたことがあるのですが、それだったら4~5年で身に付けることを目指したいです。大学院を卒業して2年目なので、30歳を目安に、そこまでがむしゃらに頑張りたいです。

 阿江さん 私も今は目の前の仕事を頑張りたいです。デバイス開発は設計と製造をつなぐ役割なので、他部門のことも理解していきたいと思っています。

「設計と製造をつなぎたい」と話す阿江さん

―半導体業界の課題はどこにあると思いますか。

 鈴木さん 半導体業界は注目を浴びている割に人材が足りていないと感じます。私の大学からも半導体分野に進む人は少なかったです。もっと広く分かりやすく身近に伝える方法を考えるべきだと思います。

 平賀さん 人材で言うと、今活躍しているエンジニアに40代以上が多く、その継承も課題だと感じています。特にデジタルICよりアナログICは人が集まりづらく、伝承にも時間がかかる分野なので、私たちの年代が上の世代を超えていく意識が必要だと感じます。

 王さん 私はスマートフォンに使うリチウムイオン電池保護ICの部門にいるのですが、短納期の仕事が発生しやすいので、若手が丁寧に一から勉強することが難しい環境でもあると思います。特に私は学生時代に半導体を専門としていないので、そういう面でシステム的に学ぶことが難しいと感じています。

「半導体はシステム的に学ぶのが難しい」と課題を語る王さん

「楽しむことを忘れないで」

―半導体業界を目指す人へメッセージをお願いします。

 王さん 私みたいな専門外から来た人には、半導体業界は高度な技術が求められるので、最初は大変ですが、必ず成長につながります。達成感も大きいです。頑張りましょう。

 阿江さん 半導体分野は幅広いので、例えば設計が肌に合わなくてもプロセス技術に携わることができます。いろいろな仕方で自分を試せるのでおすすめです。

 鈴木さん 半導体は広くさまざまなモノに使われているので、自分が社会に役に立っていると実感しやすいです。

 平賀さん この業界を目指す人は、やりがい求めているのだと思います。だからこそ、楽しむことを忘れないで、と言いたいです。奥が深すぎて分からないことも多いと思いますが、実力が付けば楽しくなってくるはずです。

【エイブリックについて】

 さまざまな民生機器、モバイル機器、車載や医療機器向けにアナログ半導体を製造するメーカー。現セイコーインスツルのCMOS IC製造事業が元で、2018年に現社名にて独立、2020年にはミネベアミツミグループに統合。東京都港区に本社を構え、千葉県松戸市と秋田県大仙市に工場がある。