2025.07.31 【家電流通総合特集】後半戦の取り組み 東芝コンシューママーケティング 鈴木新吾社長
鈴木 社長
ブランディングと勉強会に注力
2025年上半期(1~6月)は台数では前年並みとなり、金額は前年同期比3%増で着地した。当社はエアコン、冷蔵庫、洗濯機、オーブンレンジ、掃除機、炊飯器の主要6商品の販促を強化しているが、全国的な猛暑などでエアコンが好調に推移して全体をけん引したほか、オーブンレンジが前年を上回った。それ以外は台数、金額ともに苦戦しているものの、6商品全てでシェアを改善できた。
今年度は東芝の白物家電ブランドを再構築する「ブランディング」と、MST(見て、触って、食べて)を具現化していく「東芝体感勉強会」を重点施策に掲げ、取り組んでいる。1月1日に組織を改編し、営業やマーケティングと、調達や物流、品質、顧客サポートなどを行う部門とを一体で見られる体制にした。販促なども迅速に対応できてきている。
ブランディングでは、24年から親会社の東芝ライフスタイルのブランドアンバサダーに俳優の反町隆史さんを起用しテレビCMなどを展開してきた。今年も引き続き反町さんによるブランド発信を進め、新たなCM展開も始めた。同時に次世代の東芝ファンを創るブランディングにも取り組み始めている。
テレビCMや屋外広告だけでなく、デジタル広告も本格化。さらにラジオのスポンサーも始めた。漫画家6人とコラボし、主要6商品の漫画を漫画家1人が1商品を取り上げて作品を発信し始めた。年末までに6商品の作品が順次公開される予定だ。こうした活動により、ブランドを思い浮かべてもらう想起率を高められるようにしたいと考えている。
MSTでは、新商品研修会の東芝体感勉強会を東京、大阪、名古屋、福岡の全国4カ所で開催した。来場した販売店関係者の皆さまに「参加して良かった」「販売の参考にできる」と思ってもらえるよう、事業部と一体となって企画を練っている。今回は前年比160%の来場があり、評判も良かった。
今年はエアコンの提案に重点的に取り組んでいる。マイデアグループ(美的集団)傘下に入りエアコンの開発と販売を再強化してきた。「大清快」シリーズは昨年、省エネ大賞を受賞するなど商品力も高まっていることから、事業部と連携し再度理解を深めてもらう取り組みを行った。
3月から6月にかけては体感勉強会を開催した全国4会場以外の全国17カ所で「大清快ツアー」を実施し、商品の機能や性能、工事のポイントなど、会場に合わせて展開した。特長である「無風感空調」も体感できるようにした。
さらに販促支援の一環で、全国量販店で実施している「一斉店頭応援日」も継続し、5月末に「エアコン一斉拡販デー」を300店舗で実施した。CMやデジタル広告なども連動して行った成果もあり、エアコンのシェアを確実に上げることができた。
体感型の提案も強化し、縦型全自動洗濯機の新製品は実演機を用意し全国に配置したほか、紙パック式のスティッククリーナーも特長が分かる実演機を用意した。さらに提案営業も強化している。炊飯器では当社が以前、古米モードを備えていた経験を生かし、政府が備蓄米を放出した際に、炊飯器を生産している新潟の事業部と連携し、いち早く古米、古古米をおいしく炊くノウハウを流通各社に提案した。
下期に向けては秋の東芝体感勉強会を全国4カ所で展開するほか、一斉店頭応援日を設けて販促支援する。東芝ストアー向けにはインターネットで受発注と情報収集ができる「家電ビジネスネット」を拡大していく。商品情報などだけでなくマーケット情報なども提案できるようにしたい。客単価が上げられるよう、家電の機能や性能ではなく生活シーンを想定した提案ができるコンテンツを用意していく。