2025.09.26 【関西エレクトロニクス産業特集】クラボウ KICの新棟を建設 高機能樹脂製品の生産強化

クラボウ熊本イノベーションセンター

 クラボウは、3カ年新中期経営計画「Accelerate」を4月からスタートした。重点施策は成長市場に向けた注力事業の展開・加速と基盤事業の収益力強化。化成品事業部では、半導体製造関連など成長市場に向け高機能樹脂製品事業の拡大を目指す。7月に稼働した熊本イノベーションセンター(KIC)の新棟で半導体製造装置向け高機能樹脂製品の生産体制を強化する。

 化成品事業部は、機能性フィルムも含めた高機能プロダクツ事業への経営資源集中と事業拡大を目指している。同事業部の売り上げ目標は新中経の最終年度で740億円と現状の80億円増を目指す。KICは新中経を具現化する最重要拠点と位置付ける。

 成長が見込まれる半導体市場での需要に対応するため熊本県菊池市にあるKICの新棟建設に2023年から着手。投資額は約31億円。半導体製造の前工程の製造装置向け高機能樹脂製品の生産能力と開発体制を現状の2倍以上に増強する。

 新棟の敷地面積は5467平方メートル。生産対応スペースを2倍以上へ拡張し、新規開発を行うスペースも設置。複数洗浄工程による高清浄度化を実現。倉庫の自動化、デジタル化による検査工程の効率化も推進する。

 同社取締役の馬場紀生化成品事業部長は「新棟の稼働後は予定通りに進んでいる。今後、人工知能(AI)向けやデータセンター向けなど半導体市場の拡大が予想されることから、製造装置も同様に伸び、来期後半から拡大局面に入る。その時のための供給体制を確立していく」と話す。

 今後は環境対応として太陽光パネルの設置や建物エネルギー管理システムの導入を計画。また、新技術の開発を推進し、同社独自商品の提案を強化する。