2025.11.10 シャープの4~9月期 大幅な営業増益を確保 堅調なPC事業で通期は上方修正

「シャープらしい独創的商品の創出や改革を着実にやり切り27年度までの中期経営計画の達成を図る」と語る沖津社長「シャープらしい独創的商品の創出や改革を着実にやり切り27年度までの中期経営計画の達成を図る」と語る沖津社長

 シャープが10日発表した2026年3月期第2四半期(25年4~9月)の連結決算は、競争環境の激化や為替などの影響で主力であるブランド事業の売上高は前年同期を下回ったものの、営業利益は約1.5倍の大幅増益を達成した。通期の見通しも上期の実績を反映し、売上高は据え置いたが、各利益を上方修正した。

 売上高は前年同期比13.3%減の9503億円、営業利益は前年同期の4億円から285億円改善し289億円、経常利益は同じく14億円から321億円改善し335億円。最終利益も前年同期比98.1%増の454億円と上向いた。

 第2四半期(7~9月)のセグメント別では、白物家電やテレビなどのスマートライフ事業は売上高が前年同期比5%減の1507億円、営業利益は同78.7%増の64億円となった。

 エネルギーソリューション事業が国内の住宅用や蓄電所の需要増などで増収となったものの、白物家電事業では国内外での調理家電を除き、エアコンや冷蔵庫などが苦戦し国内外とも減収となった。とりわけアジアでの冷夏が大きく影響した。

 パソコン(PC)や複合機などスマートワークプレイス事業は、とくにPCの好調がけん引し、B2B、B2Cともに大幅な増収となり、売上高が同5.7%増の2191億円、営業利益が同52.5%増の187億円となった。

 デバイス事業では、堺ディスプレイプロダクト(SDP)の終息などアセットライト化の着実な実行により、売上高は減少したものの、営業赤字が大幅に縮小した。

 通期連結業績見通しについては、第2四半期のPC事業などの業績上振れや米国関税の影響の改善も織り込み営業利益などを上方修正した。営業利益は1500億円プラスの4500億円とした。

 関税の営業利益への影響額は、最小限にとどまる。25年度通期でマイナス37億円(売価アップやコストダウン対策込み)を見込んでいたが、今回さらに追加対策を図ることで12億円改善させ、通期マイナス25億円の影響額に改めている。

 沖津雅浩代表取締役社長執行役員CEOは、中期経営計画(25~27年度)の進捗(しんちょく)について「財務面、事業面でそれぞれ順調に進捗している」と手応えを得ている。さらに沖津社長は、各事業でコストダウンや構造改革を進め収益力が向上し、「当初想定を大きく上回るペースで改善した」と話す。

 資産売却なども順調に進み、自己資本比率は半期で10.5%から14.6%へ大幅改善した。亀山第2工場は鴻海への譲渡に向け年内にも最終契約の見通しで進んでいる。

 「中期経営計画達成に向け、シャープらしい独創的なモノを創出し続け、着実に計画を推進させていく」(沖津社長)方針だ。