2025.11.12 三菱電機、和歌山でろう付けの技能を競う大会 予選通過者が集結

三菱電機冷熱システム製作所でろう付競技の課題に挑む参加者

配管課題の見本配管課題の見本

 三菱電機は、冷熱システム製作所(和歌山市)で「三菱電機グループ技能競技大会」の一環として「ろう付職種」の全社大会を開いた。全国の製作所や関連会社から予選を勝ち抜いた7人が出場。課題を作成し、ろう付けの技術を競った。

 同大会は①技能の伝承と技能水準の一層の向上②技能尊重風土の醸成③トップレベルの技能者育成―を目的に1977年から開き、今年で46回目。オンライン会議システム「Teams(チームズ)」を活用したライブ中継も行った。

 今年は、約1200人が参加した予選を経て、102人が全社大会に出場。ろう付けのほか、配電盤組み立てや電子機器組み立てなど10職種に分かれて技術を競った。ろう付職種は、2013年に第1回大会が行われ、今回で11回目となる。

 ろう付けは、溶接の一種。接合面のすき間にろう材を充塡(じゅうてん)することで、溶接する部材を溶かさずに接合する。空調冷熱機器内にある冷媒の通る配管の大部分はろう付けで接合しており、その出来栄えが製品の品質を左右する。一方、部材や炎の状態から温度を判断し、適量のろうを溶かす高度な技術が必要になる。

 大会は、学科と実技の合計点で優勝が決まる。実技は、板物課題と配管課題の2種類を用意。板物課題は、鉄や銅など4種類の金属をこの字型にろう付けする。金属の種類によって厚みや加熱時の膨張率が異なる。一方、加熱しすぎると板が反ってしまうため注意が必要だ。

 配管課題は、5種類の金属をつなげていく配管組み立て課題とCT用配管継手課題の2種類がある。配管組み立て課題で特に難しいのが、アルミ同士のろう付けだ。アルミは加熱しても色が変わらないことに加え、アルミとろう材の融点が近い。炎色反応による炎の色味の変化を見て、ろう付けのタイミングを調整する必要がある。

 また、薄いアルミフィンのそばにある配管のろう付けは、短時間でピンポイントに炎を当てる技術が求められる。

 CT用配管継手課題は、銅の配管をろう付け後、CTを使ってろうが充塡されていない箇所を確認し、採点を行う。欠陥率によって加点または、減点となる。

 2種類の課題を標準時間の39分より早く終えると、1分短縮するごとに加点、1分超えるごとに減点される。実技に使用した道具の整理や終了後の清掃なども採点の対象となる。

 今回は、予選を通過した冷熱システム製作所、伊丹製作所(兵庫県尼崎市)、静岡製作所(静岡市駿河区)、冷熱システム製作所の関係会社である三菱電機冷熱応用システムから7人が参加。平均年齢は25.6歳の若手が中心だ。冷熱システム製作所空調システム製造部管理課の前岩蒼人さんが94点で優勝した。 12月23日にほかの競技大会の結果と合わせて、同社本社(東京都千代田区)で表彰式を行う予定だ。