2026.01.23 冬に車のガラスを60秒弱で解氷、空調使わずパルス電力で省電化、バイコーの電源製品生かす
解氷のイメージ(出所:Vicor)
カナダBetterfrost Technologies(ベターフロスト)は、パルス電力を使い電気自動車(EV)のフロントガラスの解氷を60秒足らずで完了させるシステムを手がける。車両の暖房・換気・空調(HVAC)システムを使う従来方式と比べ電力消費は20分の1という。普及が待たれる48Vを中心とした電力供給網を生かす。電源メーカーの米Vicor(バイコー)が展開する「BCM」シリーズの高電力密度かつ車載向けの電圧変換比固定バスコンバーターを採用しており、同社が先進事例の一つとして打ち出した。
EVがHVACでフロントガラスを除霜する場合、エンジンの排熱には頼れず走行のための主機バッテリーの電力を消費する問題がある。ベターフロストは2015年に米ダートマス大学での「フロントガラスの霜を取り除く際、氷を完全に溶かす必要はない」という発見をもとに発足。氷とガラスが接する界面層の結合を弱めるだけで十分とし、短いパルス電力をガラス表面に印加し氷の下に薄い疑似液体層を形成し、ガラス全体を加熱しなくても氷を剝離させる技術を保有する。
フロントガラスやサンルーフの多くは銀や酸化インジウムスズ(ITO)などの低放射(Low-E)導電膜をコーティングに用いており、ベターフロストの技術はこれらを電気回路として利用する。ガラス表面を均一に温めるため、ひび割れ原因となる熱ストレスも軽減できると打ち出す。外気温が氷点下20℃の環境で暖房に必要なエネルギーを最大27%削減し、EVの航続距離を延ばせるとした。騒音の原因となるブロワーモーターや、大きくかさばるエアダクトを排除できるのも利点とする。航空機の翼に使う除氷材の代替や、風力タービンのブレードへの着氷防止、冷凍倉庫における除霜のエネルギー効率向上にも応用できるという。
現在、自動車メーカーやTier1部品メーカー、物流・運送業者と協業を進め、商用トラックやプレミアムEVの早期導入企業と連携を深めているという。今後3~5年間で、EVに加えハイブリッド車への導入拡大を見込む。








