2026.02.06 東大「貼る」新型コロナワクチン、マイクロニードル改良し採用

 東京大学生産技術研究所(生研)は「貼る」新型コロナウイルス感染症ワクチンを発表した。長さがマイクロメートル単位の微細針の集合体、いわゆるマイクロニードルを改良し採用したパッチ型機器。動物実験では従来の注射より抗体応答が高い傾向を示したとする。また、針の作製工程を変えてワクチンの充填率を向上し、針内に含む感染性を持つウイルス量(ウイルス力価)の安定化に成功した。将来は痛みが少なく、接種を受ける人が自分で使用でき、常温輸送も可能な機器を目指す。医療従事者やインフラが不足な発展途上国での予防接種への貢献も期待する。

 生研の金範埈教授、朴鍾淏助教、青柳星見技術専門職員、東大大学院工学系研究科精密工学専攻博士課程の荘林幸太郎氏、東京都医学総合研究所の小原道法特任研究員、安井文彦プロジェクトリーダーの研究グループによる成果。

 マイクロニードルは電子産業の微細加工技術を医療、美容分野に応用した例として知られる。免疫反応を誘導するランゲハンス細胞が多く分布する皮膚の浅い層である皮内へのワクチン投与が狙え、人体を物理的に傷つけたり生活の質を低下させたりする可能性、侵襲性の低減も期待できる。ただしワクチンを組み込む際に針の先端への搭載量の制御が難しい、長い乾燥工程でウイルス力価が低下する、ワクチンが針のバッキング(基板)部分に拡散し無駄が出る、といった課題があった。

 今回の機器は3Dプリンターで作製したバッキング上の支柱が特徴で、支柱にある針の先端のみにワクチンを充塡(じゅうてん)する構造になっている。先端充塡効率は16.5%と従来のモールディング方法と比べ8.3倍。従来の方法ではウイルス力価は40.4%だったが今回50.4%を保持した。さらに今回のマイクロニードルでワクチンを接種したマウスは、従来の皮内投与法で接種したマウスより1.2倍高い抗体応答を示した。