2020.07.31 【中・四国版】国際共同制作の「太陽の子」特集ドラマ出演者が思い伝える

「太陽の子」主役3人(左から有村さん、柳楽さん、三浦さん)

柳楽優弥さん柳楽優弥さん

三浦春馬さん三浦春馬さん

有村架純さん有村架純さん

 国際共同制作の特集ドラマ「太陽の子」出演の柳楽優弥さん、有村架純さん、三浦春馬さんが出席し、「太陽の子」試写会後、記者会見が行われた。最初に撮影の印象的なシーンやエピソードを出演者がそれぞれ紹介した。

 柳楽さん「重大な事実をベースにしたストーリーなので撮影する前は怖かった。監督が勉強する機会を与えてくださったり、心強いキャストに恵まれた」「海の中で裕之(三浦春馬さん)を助けに行くシーンは早朝一発撮りの緊張感もあり印象的でした」。

 有村さん「完成した作品を見た時に今こそ見るべき作品だと思った。作品は必要な時に巡ってくるものだとあらためて思いました。新型コロナの影響で世界中が変わりつつあり、人間同士、国同士混乱がある中で、あらためて平和について考えなければならないと思いました」。

 三浦さん「戦中の映画は数多く存在すると思いますが、科学者の視点を強く描いた作品に関わることで、また違った角度から戦争を見るいい機会でした。以前広島に足を運んだ際、『人間は想像力が欠如した時にむごいことをする』というお話を聞いた。僕たちは想像力を届ける仕事だということをあらためて感じた」。

 質疑応答の要旨は次の通り。

 ―役づくりをする上で苦労されたことは。

 柳楽さん 科学者を演じたことが初めてなので、演技する以前に勉強しなければならないことがたくさんあって大変でした。学びながら撮影していくのは、ほかの現場ではない経験をさせていただいた。

 有村さん 戦時中死と隣り合わせで過ごす姿は生半可な気持ちでは演じられないと思った。五感を大事にして毎日をいとおしく生きようと決め現場に立ちました。

 三浦さん 戦地から療養で家族の元に帰った時に、家族に毅然(きぜん)とした態度で繕う姿に役づくりとしてどのように肉付けしていったらいいか苦労した。

 ―戦中の若者を演じてどのような思いを持っていますか。

 柳楽さん コロナ禍でセリフ一つ一つを実感した。

 三浦さん 祖父が学徒出陣で集められた経験を持っていた。実際は視力が足りず行けなかった体験を聞いた。

 有村さん きれいごとではなく、世界平和を願います。ひいおじいちゃんが特攻隊で亡くなっていますが、でもその子どもであるおじいちゃんがいなかったら、私は今ここにいない。命をつないできてくれた自分の後ろに歴史があることをあらためて皆さんに考えていただきたいし、先祖に感謝したいと思いました。

 ―柳楽さんのシーンで原爆ドームの現場に立たれてどんなことを感じましたか。

 柳楽さん 言葉にするのは難しい。歴史の事実を僕より年下の世代に伝えていくことをしなければと感じました。

 ―撮影前と後ではどのような心境の変化がありましたか。

 有村さん 台本を読ませていただくのと、現場に立ってお芝居をさせていただくのとでは、自分が感じた以上のものが得られる。自分にできることはまず周りの大切な人が悲しんでいたからだと、心で抱きしめようと思います。

 三浦さん 意欲的に未来のことを考えるのは、どの時代でもかけがえのないことだと感じました。

 柳楽さん 分かりやすいキャラクタではなく毎回撮影でも複雑な気分になっていた。個人が自分に優しくなったり、人との争いをなくそうとすることだと感じた。

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 国際共同制作ドラマ「太陽の子」の放送は8月15日午後7時30分-同8時50分。総合・BS8K同時放送。

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 「太陽の子」の記者会見は、全国で唯一広島で行われました。俳優・三浦春馬さんは7月18日、死去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。