2020.10.06 【世界情報社会・電気通信日のつどい特集】日本ITU協会・南俊行理事長「第52回世界情報社会・電気通信日のつどい」に当たって
南 理事長
リアルとバーチャルを融合、ICTでコロナ禍克服
本日、「世界情報社会・電気通信日のつどい」の式典に当たり、新谷正義総務副大臣、外務省から小野啓一地球規模課題審議官のご臨席を賜り、また、当協会役員の出席を得て式典を開催できますことを心より御礼申し上げます。
本年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、例年5月17日に開催しています本つどい式典を、規模を縮小し、国際協力の日である本日10月6日に開催しております。
新型コロナウイルスについては、年初から世界各地で感染が拡大し、これまでに各国で3300万人を超える感染者が発生し、いまだ収束には時間がかかる様相です。社会生活はもちろん、経済活動、文化活動などあらゆる分野で影響を受け、日本国内においても、大都市圏での感染者数はひと頃ほどは多くありませんが、いまだ予断を許さない状況です。
そのような状況下で、私たちの生活様式や働き方は変化しています。例えば、多くの企業や団体ではテレワークが広く実施され、またオンライン会議によるコミュニケーションが多く実施されています。これらは、コロナウイルス感染拡大を契機として「働き方改革」の一部が具現化された事例ではありますが、今後、我々は、従来の課題である「産業・経済の活性化」「エネルギー問題」「防災・減災」など、多くの社会課題に対峙(たいじ)していく必要があります。
現在、世界中が経験したことのない新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ITUやAPTの会合、全てがリアル開催できない状況にあります。
人が当たり前のように移動できていた少し前の時代から、ICTを使った新しい形の会合開催を余儀なくさせられています。これからの会合はリアルとバーチャルのメリットをうまく活用し、それぞれのデメリットを克服していかなくてはなりません。
当協会におきましては、研究会の実施をオンラインで行っています。オンラインにすることで、会場開催を上回る100人以上のご参加をいただいています。また、会員の情報交換の場では、ジュネーブ(スイス)、バンコク(タイ)、カリフォルニア(米国)から参加いただき、国際的な情報共有も実現しています。
リアルとバーチャルの融合こそ、これからの国際社会の形になる第一歩となっているわけです。
さて、本年の「世界情報社会・電気通信日」のテーマは「Connect 2030:ICTs for the Sustainable Development Goals(SDGs)」です。すなわち「ICTにより17のSDGsを達成し、Connect 2030アジェンダ(成長、包摂性、持続可能性、革新、パートナーシップ)に貢献すること」です。
我々は、ICTの力を用いてコロナ禍を克服し、加えて、従来の社会課題の克服やSociety5・0の実現に向けて、状況を見極めながら、再度、ギアを入れ替え、動き始める必要があると考えます。本日は、これらの課題解決に関わる話題として「データ主導社会の実現に向けて」が、式典後の記念講演のテーマです。
ITUは、本年11月にインドで予定していたWTSA世界電気通信標準化総会を来年2-3月に延期して開催し、研究課題の設定を行うとともに、各SGの再編検討および議長副議長の選出を行います。また、12月にはAPTの総会がバーチャルで開催され、日本国から近藤勝則氏が事務局長に立候補します。当協会は、本日ご臨席の皆さまや関係する皆さまと共に、こうした世界的な活動に微力ながら貢献してまいりたいと存じます。
本年もこの式典において、情報通信分野における国際的な活動に貢献された皆さまに対し、総務大臣賞および日本ITU協会賞をお贈りできることを喜ばしく思います。
受賞される皆さまのご功績に心からの敬意と感謝を申し上げますとともに、本日が、世界と、わが国の情報通信の発展に意義深い日となることを祈念し、開会のあいさつとさせていただきます。