2021.03.18 【九州・山口産業特集】長府工産ZEHやV2Hを積極推進

伊奈 社長

 長府工産(山口県下関市)は太陽光発電、蓄電システムのメーカー商社として、ZEH(ゼッチ、net・zero・energy・house)の提案、導入を工務店などビルダーや販社、工事協力店などと進めている。資材調達からセミナー、アフターフォローまで同社のネットワークを生かしたトータルサポートを強みとしてアピールしている。

 ZEHは、住宅の断熱性や省エネ性能を上げ、太陽光発電などでエネルギーをつくることによって、空調・照明など年間で消費する住宅のエネルギー量の収支を正味(net)プラスマイナスゼロ以下にする住宅を指す。経済産業省が推進しており、30年までに新築住宅全体への導入を目指す。

 温室効果ガスの排出削減と住宅の省エネルギー化が求められる中、同社は「創蓄でのエネルギー活用」を掲げ、昼間に太陽光で発電した電気を蓄電池に効率的にためて夜間に使用する電気に回すなど、自宅で消費するエネルギー量よりも、自宅でつくるエネルギー量を多くするZEHの訴求に力を入れている。卒FITの終了などで売電価格の上昇が見込めない中、いかに家庭の購入電気代を抑えるかがポイントだという。

 「家庭に蓄電池プラスEV車」を軸に、周辺機器やEV車向けV2H機器の販売にも力を入れる。環境対策と自然エネルギーの活用、地震など頻発する災害への備えとしても訴求する。事業用蓄電池も下関、北九州両市と愛媛県、北海道の計4カ所での実証実験開始が近づいており、性能評価が良ければ来期中の販売を目指す。

 同社の20年度の売上げは前期の5%減、約230億円となる見込み。コロナ禍で講習会など充分な営業活動ができなかったことが響いた。来期は250億円を目指す。主力の蓄電池は国内トップクラスの販売台数を誇り、12%増の約1万5000台に。来期目標は1万7500台に設定する。

 伊奈紀道社長は「これまでの手法を継続し、営業体制の強化と総合力を上げていく。ZEHやV2Hなどトータルコーディネータとしての強みを生かして、提案をさらに進めていく」と来期への取り組みを語った。