2019.11.25 【デジタルカメラ特集】各社から新製品出揃う、高付加価値製品の需要増で単価アップ続く
(グラフ1)大変貌を遂げたカメラの市場構成
消費税増税後に各社から一斉に新製品が発売され、デジタルカメラや交換レンズが店頭に出そろい、年末に向けてカメラ市場は盛り上がっている。9月は買い控えで振るわなかったが、10月以降は挽回している。ユーザーは高付加価値製品を求めるようになり、単価は上昇し続けている。
大変貌を遂げているカメラ市場
グラフ1は、〝フィルムカメラ〟時代の1989年、〝コンパクトデジカメ(コンデジ)〟が世界中で売れて出荷量が1億4千万台を超えていた10年、〝ミラーレスデジカメ〟の伸びが顕著で〝フルサイズミラーレス〟が各社から発売された18年の市場構成を示している。
フィルムカメラ時代とコンデジ時代の市場規模は桁違いだが、市場構造は、一般の人が使うレンズ一体型のコンパクトカメラが圧倒的なシェアを占め、専門家や写真愛好家が使うレンズ交換式の〝一眼レフカメラ〟と交換レンズのシェアは3割以下だった。
スマホで一変
昨年の市場構成は、レンズ一体型のコンデジが23%に縮小、一眼レフとミラーレスを合計したレンズ交換式カメラが29%と大きく伸ばしており、交換レンズが圧倒的なシェアを占めている。
コンデジで写真撮影を気軽に楽しむ層が増え、スマホの撮影能力が向上してコンデジの市場が移行。天皇、皇后両陛下即位のパレード報道で目の当たりにしたように、誰もがスマホ撮影をする時代に突入している。
カメラ映像機器工業会(CIPA)は「スマホがコンデジを食ったかもしれないが、コンデジブームの下地でレンズ交換式カメラへのステップアップにつながった」と述べている。
いまは、スマホからレンズ交換式カメラにステップアップしてくる写真ファンも多く、カメラ市場構造変貌の追い風にもなっていることは間違いない。
カメラとレンズ合わせて1兆円産業
コンデジバブル期に比べると市場規模はほぼ半減。写真ファンが購入するカメラやレンズは、プロ写真家並みのクオリティを持つ高額な機材になった。
グラフ2は交換レンズの出荷額の推移。大きく伸びていて、平均所有本数は1.6本。好調のフルサイズミラーレスカメラ専用レンズが今後続々と発売されることから、さらなる成長が期待される。
上昇続ける単価
グラフ3とグラフ4は17年から19年のレンズ交換式とレンズ一体型カメラの出荷金額の推移。低下している傾向が見られるが、タイプ別の単価を示しているのがグラフ5。
11年前後が、販売量が多く単価が底値になった時期。以降、単価は反転。今年の9月はミラーレスが7万2300円、一眼レフが3万8800円、レンズ一体型のコンパクトカメラは1万9200円まで上昇し続けており、健全な市場性を取り戻している。新製品も出そろい、販売第一線の期待は高い。
【デジタルカメラ特集】目次
●各社から新製品出揃う、高付加価値製品の需要増で単価アップ続く
●パナソニック ミラーレス「Sシリーズ」
●富士フイルム ミラーレス「X-Pro3」