2022.02.16 【「省エネ大賞」特集】脱炭素化社会実現へ省エネ推進
カーボンニュートラル社会の実現に向け、ますます重要になるのが省エネだ。創エネ・蓄エネに加え、機器の省エネとが三つそろってCO₂の削減が進む。機器の省エネでは、今年も省エネルギーセンター主催の省エネ大賞の受賞者が決まり、コロナ禍の中でも例年以上の応募件数があったという。日本社会全体で省エネ推進の機運が盛り上がっている。
省エネルギーセンター(藤洋作会長)では毎年、国内の企業・自治体・教育機関などに対して優れた省エネ推進の事例や、省エネ性に優れた製品・ビジネスモデルを「省エネ大賞」として表彰している。表彰を通して、省エネ意識の浸透、省エネ製品の普及促進、省エネ産業の発展、さらに省エネ型社会の構築に寄与することを目的とし実施している。
今年度は、コロナ禍という状況の中でも例年を超える120件以上の応募があった。学識経験者やエネルギーの専門家などからなる審査委員会による審査の結果、省エネ事例部門で32件、製品・ビジネスモデル部門で28件が受賞している。
省エネ事例部門では企業や組織、事業場や事務所などの省エネ取り組みや、現場での小集団活動あるいは他者との連携などによる省エネ活動により、成果を上げた案件などが対象となり、今年度は「ZEB・ZEH分野」が新設された。
製品・ビジネスモデル部門では、既に国内で購入可能な優れた省エネルギー性を有する製品(業務用・家庭用製品、運輸分野の製品、住宅・ビルなど建築分野の製品と各製品の要素製品や部材を含む)、または省エネルギー波及効果の高いビジネスモデルを対象とし、今年度は「ZEB・ZEH分野」「省エネコミュニケーションン分野」が新設された。
同部門では、家庭用から業務用まで多彩な製品・システム、ビジネスモデルが表彰されたが、家電関連では今回ルームエアコン、冷蔵庫、空気清浄機、全熱交換器といった製品が受賞している。
パナソニックが経産大臣賞受賞
エアコンLXシリーズが最高賞
快適性と省エネ性両立
パナソニックは、省エネルギーセンター主催の「2021年度(令和3年度)省エネ大賞」の製品・ビジネスモデル部門において、人に寄り添う美肌うるおいシステム「給水フリー加湿&新ナノイーX」搭載エアコンLXシリーズが、最高賞となる経済産業大臣賞(家庭分野)を受賞した。
エアコンLXシリーズは、在宅時間が増加傾向にある環境の中で、年間を通じて快適性と省エネ性を両立するエアコンとして開発し、昨年11月から発売している。
圧縮機からの排熱を冷房に活用し、連続で安定的な運転・除湿を行う「エネチャージ快湿制御」や、給水フリー加湿と潤いを保ちながら暖房する「ナノイーXうるおい暖房」、新鮮な外気を取り入れ空調を行う「給気換気」などの機能を搭載している。
具体的な省エネ要素技術としては、圧縮機廃熱利用のエネチャージを冷房にも活用した「快湿制御技術」、メンテナンスフリーで暖房時の肌乾燥感を解消する「高分子収着材を用いた高性能給水フリー加湿技術」、OHラジカル量を大幅に高めた「ナノイー技術」、換気性能を高める「大風量換気技術」、圧縮機の効率アップなどによる伝熱効率向上や、通風抵抗減等による高効率化などの技術を開発している。
快湿制御技術では、エアコン運転時に大気中へ放出していた熱エネルギーを蓄熱することで、設定温度を保ちながら、除湿もし続ける快適な冷房を実現している。排熱を活用することにより、電力の無駄を省くこともできる。
また、高分子収着材を用いた高性能給水フリー加湿技術では、業界で初めて室外機に吸湿・放湿力に優れた高分子収着材を採用した。高い吸湿力を持つ高分子収着材によって、暖房時には外気の水分を取り込み室内へ送ることで、給水の手間なく部屋を素早く加湿できるので、暖房時に感じる肌などの乾燥を防ぐとともに、加湿による省エネ暖房にもつながる。
加湿能力は4.0kWタイプで810ミリリットル/時、9.0kWタイプで860ミリリットル/時となっている。
除湿時には乾燥させた外気を室内へ送る「ドライ給気制御」で、寒くなりにくい快適な除湿も可能になっている。さらに、新鮮な外気を取り入れ空調を行う給気換気機能(各クラス換気風量38立方メートル/時)を搭載し、室内の空気質向上に貢献する。
同社独自のナノイー技術では、OHラジカル発生量をナノイーの100倍、約48兆個/秒を実現した新ナノイーXを搭載し、部屋の有害物質を抑制したり、エアコン内部を清潔に保つことができる。
こうした快適・清潔性の向上とともに、APF(通年エネルギー消費効率)は7.3を達成(4.0kWタイプ)するなど、高い省エネ性の両立につなげており、今回の経済産業大臣賞受賞につながった。