2023.05.26 【日刊自動車新聞×日刊電波新聞】人とくるまのテクノロジー展2023〈注目の展示から〉トヨタ紡織
ファーストクラスの快適性を実現した「MX Prime」。短時間で仮眠がとれる心地よい振動機能も搭載した
最上の快適性を追求した自動運転時代のシート
トヨタ系サプライヤーで、シートなど自動車用内装部品を中心に手掛けるトヨタ紡織。「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」では、MaaS(サービスとしてのモビリティー)を想定した車内空間コンセプトのシートを体験できるコーナーを設けた。短時間で仮眠を誘導するシステムや、タッチセラピーを再現するリラックスシートなど、自動運転やライドシェアが普及した先にある新たな移動時間の使い方を提案し、来場者の注目を集めている。
「MX Prime」は、自動運転の「レベル4(特定条件下における完全自動運転)」に向けたライドシェアモビリティー用の車室空間「MX221」の最上位グレードのシートだ。飛行機のようにシートのグレードを選択し、内装を取り換えられるようになることを想定。ファーストクラスの位置づけで開発された。
MasS車両でもパーソナルな空間を保てるように、隣席との仕切りとなる「ファニチャー」を設置。ヘッドレストの音響システムにより、音声も個別に視聴できる。移動中に短時間で快適な仮眠がとれるよう、シートが倒れ、ゆりかごのような心地よい振動が繰り返されるのも特徴だ。
このほか遠隔で触感を伝送できる「リアルハプティクス」技術によって、タッチセラピーの優しく人をさする繊細な力加減を再現したシート「リモートタッチセラピー」のデモンストレーションも行っている。リアルハプティクス技術には、同社が出資するモーションリブ(川崎市幸区、溝口貴弘代表取締役)の技術を活用した。
トヨタ紡織の車室空間企画開発部の後藤靖浩部長は「自前主義の時代は終わっている。触覚や嗅覚など、五感に訴える技術を中心に、スタートアップとも連携しながら開発を進めていきたい」と語った。
(日刊自動車新聞)