2025.02.14 業績差が浮き彫りに 携帯大手3社4~12月期、低料金プランの競争過熱

携帯大手3社2024年4~12月期業績

 携帯電話大手3社の2025年3月期第3四半期(24年4~12月)連結決算が出そろった。ソフトバンクは好調な業績を受け営業利益が2桁成長。KDDIも増収営業増益を確保した一方、NTTドコモは通信サービス収入の落ち込みに加え、顧客基盤強化と通信品質向上に向けたコスト増により増収営業減益となった。

 NTTドコモが昨年10月に低料金プランを打ち出したのを皮切りに、低価格化による顧客獲得競争も激化。各社とも通信収入の大幅な成長が見込めない中、携帯電話事業の顧客基盤を生かして通信と金融・決済を融合させ、携帯利用者をポイントプログラムで囲い込む「経済圏」の拡大に主戦場が移っている。

 ソフトバンクは、全セグメントで増収営業増益。主力の携帯電話を含むコンシューマ事業は、スマートフォンの契約数が前年同期比4%増加し3127万件となった。LINE・ヤフー事業を含むメディア・EC事業は同33%増益と大きく伸長。ファイナンス事業はPayPayの黒字化で収支が大幅に改善した。

 PayPayがPayPay銀行とPayPay証券を子会社化するなど金融ビジネスの再編を進めており、宮川潤一社長は「PayPayに金融サービスを集約し成長を加速させたい」と意気込む。

 KDDIは、DX(デジタルトランスフォーメーション)や金融・エネルギーの成長領域が伸びたほか、傘下のコンビニ大手ローソンの業績が好調で増収営業増益となった。

 本業の携帯電話事業などパーソナルセグメントは、主力の「au」や「UQモバイル」「povo」のマルチブランド通信ARPU(1契約当たりの平均売上高)収入が前年同期比35億円増加。昨年12月には、通信使い放題と金融特典を設けた新プラン「auマネ活プラン+」を開始し、契約数は累計140万件を突破した。

 注力領域の金融はauじぶん銀行の住宅ローン融資累計実行額が5兆円を突破したほか、auPayカードが1000万会員に到達するなど順調に伸長。高橋誠社長は「中容量帯での競争が激しくなったが、対抗として始めたコミコミプラン+でUQモバイルの効果が出た。マネ活プラン+のポイント還元もローソンでの決済を通じて活用され経済圏全体のプラスになっている」と話した。

 政府主導による21年春の通信料金引き下げからの回復が遅れているのがNTTドコモだ。コンシューマ事業では、モバイル通信サービスの収入減と顧客基盤強化に向けた販促費の増加でコンシューマ通信が低迷している。低料金プラン「irumo(イルモ)」への移行が増えたこともあり、モバイル通信ARPUは前年同期に比べ70円減の3920円に落ち込んだ。

 一方で、24年11月に始めたクレジットカード「dカードプラチナ」の会員数は25年1月末に34.7万件を超え金融・決済事業を後押ししている。NTTの島田明社長は「金融決済分野は非常に重要な事業。最終的に新銀行を作ることも含め、次の決算発表までには結論を出していきたい」と語った。