2025.05.23 【育成のとびら】〈50〉2025年新入社員の「理想の社会人像」とは 3位は「誠実な人」、2位は「達成する人」
毎年、新年度の始まりには新入社員についてのニュースや話題が飛び交う。「今年の新入社員の特徴」などの記事を見かけると、つい読まずにはいられないビジネスパーソンも多いのではないだろうか。自社、あるいは自チームにやってきた新人とどのように接し、指導したらよいのかという不安が切実だからこそ、こうした情報が耳目を集めるのだろう。
組織開発・人材育成を手掛ける当社ALL DIFFERENTは、新入社員の育成・成長という観点から、2025年入社予定の新入社員を対象に入社直前意識調査を社内シンクタンクと共同で実施した。
今回は、新入社員が働くことや職場に対してどのような期待を持っているのか、「理想の社会人像」と「理想の職場文化」に関する設問から傾向を読み解いていく。
理想の社会人像についての設問では、「挑戦する人」や「自分らしさを大切にする人」など九つの人物像の中から、一番理想に近い項目を一つ選んでもらった。
その結果、「助ける人(周囲の気持ちに寄り添い、支援を惜しまない)」が31.9%で最も高かった。2位は「達成する人(成功・目標を追求し、行動する)」(15.0%)、3位は「誠実な人(慎重に行動し、周囲の期待に応える)」(13.2%)だった(図)。
次に理想の職場文化について、14の選択項目の中から最大三つを選んでもらったところ、1位は「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」(69.6%)だった。
次いで「多様な考え方や働き方を尊重する文化」(39.2%)となり、「学ぶことや自己成長、スキルアップを支援する文化」(37.4%)、「高い目標に向かい、切磋琢磨(せっさたくま)して成長する文化」「新しいアイデアや創造を推奨する文化」(ともに22.0%)と続いた。
受け入れの注意点
2025年の新入社員は、学生時代にコロナ禍を経験し、周囲の環境の複雑化や不安定さを肌で感じてきた。そんな彼らは、仕事において「サポート」や「チームワーク」といった要素を重視し、組織に貢献できる人材になりたいと考える傾向が先の二つの回答結果からうかがえる。
こうした新入社員を受け入れるに当たっては、コミュニケーションを通じた関係構築の仕組みづくりに取り組むと良い。
具体的には、上司や先輩社員との人脈を構築するための交流の場(先輩座談会など)を定期的に設けることで、社会人として、組織人として、どう人と関わるべきかを学べる。
半面、周囲からの評価を気にする傾向が強い人には注意が必要だ。こうした人に対しては、以前よりも成長した点をすくい上げて努力をたたえることで、より貢献意欲を高めやすくなるはずだ。
例えば「以前に比べて、議事録を分かりやすくまとめられるようになったね。会議を欠席した人も、〇〇さんの議事録で情報をキャッチアップでき、助かっている」など、成長ポイントともに周囲への貢献に影響している点を伝えられると良い。
新入社員は「組織人として成長できている」「成長を組織に応援してもらっている」という実感が得られることによって、さらなる成長に向けて前向きに取り組めるようになるだろう。
次回は「内定期間中に会社からしてほしかったサポート」について取り上げる。(つづく)
〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉
【次回は6月第2週に掲載予定】