2025.07.10 半導体製造用「超純水」をPFASフリーに 積水化学が新たな配管材
実証実験を実施した超純水装置。青色が当該の配管
積水化学工業は、半導体製造に使う超純水装置について、その有害性から規制の進むフッ素化合物(PFAS)を含まない新素材を使った配管・継手を開発した。超純水装置で世界トップシェアを有する栗田工業と共同で試作・検証を実施してきたもの。栗田工業は顧客に提案を始める。2026年度中の上梓を目指す。
積水化学はフッ素樹脂に代わり、「特殊オレフィン樹脂」を使った配管材を開発し、2022年から栗田工業と実証を進めてきた。
PFASはフッ素と炭素を主成分とするプラスチックだが、オレフィン樹脂は二重結合をもつ炭化水素(オレフィン)を原料とし、水素と炭素が主成分。今回、技術確立にめどが立ち、海外を含むユーザーへの提案を始める。
PFASは水や油をはじき、熱に対し安定する特性から幅広く使われてきたが、自然界で分解しにくく水などに蓄積し、人への毒性に関する指摘もある。このためPFASの製造や使用を規制する動きが世界に広がっており、EU(欧州連合)では8月に1万種以上のPFASを一括規制する法令が審議される予定だ。
微細化が進む半導体産業の洗浄工程で使われる超純水は、水質が低下しないよう供給する必要があり、その水を運搬する配管材から不純物が溶け出さないようにする対応が求められていた。
積水化学は1984年以来、プラスチック管材を手掛けてきた。特殊オレフィン樹脂は品種によりさまざまな特性を持つが、同社の技術で低溶出の新素材の開発に成功した。 近年、半導体製造拠点を新設・増強する動きが活発化し、そのスパンも短くなっている。半導体工場のPFASフリー化が、急ピッチで進みそうだ。