2025.07.11 【電子部品総合特集】アルプスアルパイン 相原正巳執行役員技術本部長CTO兼コンポーネント事業担当

相原 執行役員

コア技術の価値高める

強み把握し技術売り込む

 アルプスアルパインは今年、2035年に向けたビジョンを策定した。「ビジョン2035」では、強みであるコア技術資産と製品価値向上技術を活用した製品、提供価値、サービスを提供し、それにより、「人の感性に寄り添うテクノロジーで未来を作る」ことを目指している。

 相原正巳執行役員技術本部長CTO兼コンポーネント事業担当は、研究開発方針について「当社は以前から人の感性にこだわった技術開発に努め、人がどう感じるかを重要視してきた。そうしたコア技術に基づく提供価値を高めていく。会社設立以来醸成してきた多くのコア技術があり、特許なども踏まえ、強みを把握しながら取り組む」と話す。

 同社は新中期経営計画をスタート。4月に技術本部を組織改編、CTO直下だった「開発部」を廃止し、三つの事業担当(①コンポーネント②センサー・コミュニケーション③モビリティー)に設計技術者をひも付けした。

 同社の開発ステージは①先端領域の開発を行う「RD」②応用開発を行う「AD」③顧客要請に基づく開発を行う「MD」がある。RDはCTO直下となるが、ADとMDは各事業担当が決裁権を持つ。その上でコーポレート全体にまたがって取り組むべきテーマを審議し、予算配分を行う。

 「シーズ志向の開発とニーズ指向の開発の両輪で取り組んでいる。約2年前に事業変革推進室を設置し、従来の部品単体提案ではなく、コア技術を整理し、われわれは何が強いのか、という『技術』そのものを売り込むマーケティング活動を強化している。そこから新しいイノベーションを生み出し、新しい開発につなげる」(相原執行役員)。

 CTO直下の開発部の廃止後は、案件ごとに必要なコア技術を有する技術者を招集し、部門横断型プロジェクトによる開発を進めている。「技術間の壁を少しずつ壊すことで、従来とは異なる発想のアイデアも生まれてきている」(相原執行役員)。新たに「マルチモーダルセンシングプロジェクト」も設立した。

 グループ全体の技術人材は全世界で約7000人。国内は「仙台開発センター(古川)」「いわき開発センター」「長岡開発センター」を中心に構築。海外は中国3拠点、米国、ドイツ、インド、韓国に開設している。

 研究開発におけるアライアンスやコラボレーションにも積極的に取り組み、産学連携は、東北大学をはじめ岩手大学など多くの大学と取り組んでいる。今年2月からは東京大学とトポロジカル材料を使用した磁気センサーの共同研究にも着手した。