2025.07.14 生成AI支えるストレージ革新 キオクシア、最新SSDを披露
手前一番右側のモックがCBA技術で製造したデバイス構造のイメージ
生成AI(人工知能)の進化に不可欠なデータセンターやネットワーク技術の革新が進む中、キオクシアのエンタープライズ向けSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)が注目を集めている。膨大なデータを扱う生成AI向けに最適化した製品を開発しており、新製品は今夏の量産開始を目指している。
同社は6月11〜13日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「Interop Tokyo 2025」に出展し、「LC9シリーズ」と「CM9シリーズ」を参考出品した。LC9は122.88テラバイトという大容量を実現し、膨大なデータを扱う生成AI向けに適したモデル。既に一部顧客にサンプル出荷を開始しており、今夏の量産開始を目指す。会場ではLC9搭載ワークステーションのデモも披露された。
一方、CM9は、AIやHPC(高性能コンピューティング)など高速処理が求められる次世代データセンター向けに開発。従来製品「CM7シリーズ」と比べ、ランダムライトで約65%、ランダムリードで約55%、シーケンシャルライトで約95%性能が向上した。消費電力も抑制しており、2026年春の量産が予定されている。
キオクシアのSSDを支えるのが、「第8世代BiCS FLASH」といった独自技術だ。「CMOS directly Bonded to Array(CBA)」技術を適用することで、メモリーセルの制御を担うCMOS回路とメモリーセルアレイを別々のウエハーで製造、貼り合わせる構造を採用。従来構造に比べて歩留まりが改善し、高速動作と省電力化に寄与する。
ソフトウエア面では、生成AIを支援する「AiSAQ(アイザック)」を1月にオープンソースとして公開している。HBM(広帯域メモリー)やDRAMの代替としてSSDを用いることで、RAG(検索拡張生成)を活用した推論の精度や拡張性を高められる技術になる。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「次世代グリーンデータセンター技術開発」プロジェクトとして「広帯域光SSD」の開発も進めている。
<執筆・構成=半導体ナビ>