2025.09.02 日印、100件以上の協力覚書 半導体など連携強化へ
日印経済フォーラムに登壇したモディ首相
インドのナレンドラ・モディ首相が8月29日に来日し、石破茂首相と会談した。両首脳は今後10年間の協力方針をまとめた「共同ビジョン」を発表。日本の対印民間投資目標を10兆円と定め、5年間で50万人の人材交流を行うことを盛り込んだ。半導体をはじめとする産業分野での連携を強化し、経済発展とサプライチェーンの強靭化を目指す。
モディ首相の来日に合わせ、半導体や宇宙、クリーンエネルギー、金融、自動車などで100件以上の協力覚書(MOU)を締結。新たな経済安保の協力枠組み「日印経済安全保障イニシアチブ」の創設でも合意した。情報通信、医薬品、レアメタルなどを優先分野に位置づけ、両国が協力して取り組む。
モディ首相は経済フォーラムで「これまで日本は400億ドル以上をインドに投資してきた。この関係をさらに強化していく」と述べた。石破首相も「人的交流の促進、市場と技術の融合、半導体など重要産業での協力が大きなカギとなる。東京エレクトロンやルネサスエレクトロニクスなどの日本企業がインドへの投資を加速しており、連携強化が期待できる」と応じた。
インドでは、タタ・エレクトロニクスが東京エレクトロンの協力を得て、グジャラート州に同国初の300㎜ウエハーの新工場を建設すると発表。アッサム州でも組み立て・テスト工場を建設中で、2027年の稼働を予定している。
モディ首相は「インドの規模と能力に日本の先進技術を組み合わせることで、強靭で信頼性の高い半導体サプライチェーンを構築できる」と強調する。
インドで導入予定の高速鉄道に日本の新幹線技術を採用することも確認。ムンバイとアーメダバードを結ぶ路線で建設を進め、30年代初頭に新型車両を導入する予定だ。両首脳は30日に、東京エレクトロンの宮城県の開発・製造拠点を視察し、経済安全保障の強化方針を改めて示した。
<執筆・構成=半導体ナビ>