2025.10.08 ソフトバンク、オラクルと協業 「ソブリン性」備えたクラウドを26年4月開始へ

 ソフトバンクと米オラクルは8日、クラウド上のデータやシステムを国内管理下で運用できる「ソブリンクラウド」の提供に向けた協業を開始することで合意したと発表した。ソフトバンクは日本市場向けクラウドサービス「Cloud PF Type A」を2026年4月から順次提供する。

 オラクルのクラウドプラットフォーム「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で提供されるAI(人工知能)サービスも、準備が整い次第、段階的に展開する予定。

 ソブリンは「データ主権」を意味する。ソブリンクラウドとは、各国の法律や規制に準拠し、データの主権とセキュリティーの確保を目的としたクラウドサービス。自国内でデータを保存・処理し、外部の法律や規制の影響を受けずに運用できる。

 Cloud PF Type Aは、ソフトバンクの東日本・西日本のデータセンターに、オラクルの「Oracle Alloy」を活用したクラウド基盤を構築し、ソフトバンク自身が運用を担うことで、企業や自治体のデータを国外に持ち出さずに扱える体制を整える。

 OCIが提供する200種類以上のクラウド・AIサービスが利用でき、暗号鍵管理サービス「Oracle Cloud Infrastructure Vault」とソフトバンク独自の鍵管理システム(KMS)を組み合わせることで、高度なセキュリティーを確保する仕組みも取り入れる。マルチクラウド接続サービスやVPN(仮想私設網)による閉域網接続を活用し、安全性と利便性の両立も目指す。

 提供拠点は26年4月に東日本のデータセンターから開始し、10月には西日本のデータセンターでの提供も予定。遠距離冗長構成が可能となり、ネットワーク障害や災害時のBCP(事業継続計画)対応力も高めていく方針。

 ソフトバンク専務執行役員の桜井勇人氏は「高機密要件に応じたクラウド基盤を自社データセンターで提供できるようになる」とコメントした。