2025.10.27 「鍛金」で作ったシーラカンス、古代と変わらぬ姿、JX金属賞、東京芸大院生の土井さんに
「2025年度 JX金属賞」を受賞した鍛金作品 「幸せになりたい」
金属を金づちで打ち、延べ、絞り、接合し、さらに表面の色を変える「色上げ」を行う工芸、鍛金。俗に生きている化石ともいう魚、シーラカンスを題材に鍛金で生み出した作品が、非鉄金属大手のJX金属が設けた「2025年度 JX金属賞」を受賞した。
手掛けたのは東京芸術大学大学院美術研究科修士課程1年の土井源さん。作品名は「幸せになりたい」。「古代から姿を変えずに生きてきたシーラカンス。これからどのような姿になってゆくのだろうか。今の自分と重ね合わせてみる」との説明文を添えた。
JX金属は金属の重要性や魅力、可能性を知らしめる活動に取り組み、一環として鍛金分野で活躍するアーティストを支援している。「JX金属賞」は東京芸術大学鍛金研究室に在籍し、学業成績が特に優秀な学生1人を毎年表彰しており、25年で4回目となる。表彰した学生には同社からの寄付により、東京芸大が20万円の奨学金を給付する。

10月23日の授与式では賞の紹介後、JX金属の林陽一社長が土井さんへ賞状と奨学金目録を手渡した。同大学美術学部工芸科鍛金研究室の丸山智巳教授は「鍛金における「叩く」という伝統的な技法に、折り紙の「山折り・谷折り」の要素を融合させることで、オリジナリティのある造形的アプローチを提示している」と講評した。土井さんは「幼少期から折り紙に親しんでおり、鍛金にその発想を取り入れた。シーラカンスの鱗の重なりや背景の質感を『折る・叩く』ことで表現をした」と説明した。
JX金属はカレンダーやWebサイトでの鍛金作品を紹介するほか、SNSを通じたアーティスト情報も発信する予定。受賞作品とは別に土井さんの作品「ガジュマル」を、JX金属13階エントランスで12月末まで展示する予定。








