2026.01.23 住友ベークライト、京セラから半導体「後工程」材料を300億円で買収

 京セラは22日、封止材・ペーストなど半導体関連製品、化成品コンポジット製品を製造、販売するケミカル事業を新設する会社に移し、材料メーカーの住友ベークライトに全株式を譲渡すると発表した。譲渡額は約300億円。ポートフォリオ再編に向けた事業の見直しの一環で、これにより注力分野への取り組みをより強化する。 

 京セラは、ケミカル分野の強化を進めている住友ベークライトから対象事業の買収提案を受け、同社と協議を重ねてきた。対象事業の更なる成長発展や事業価値向上につながると判断し、住友ベークライトとの間で本件取引を推進することを決定した。 

 同事業は半導体部品セラミック材料事業本部で運営。国内に3カ所、海外に1カ所の拠点を持つ。売上高は232億2300万円、利益は黒字という。総従業員数は約570人。新設会社の設立は7月を予定。株式譲渡日は10月末を予定する。新会社の名称や代表者は未定。 

 今取引が京セラの当期の連結業績に与える影響はない。 

住友ベークライト・鍛治屋社長 「圧倒的な放熱伝導特性を持つ材料を拡充」

 一方の住友ベークライトの鍛治屋伸一社長は22日、東京都内で記者会見し、「注目したのはプロセッサー、メモリー、パワー向け放熱伝導技術」と説明した。同分野で既に住友ベークライトが持つ技術や複数か国に広がるカスタマーサポート体制を組み合わせる考え。特に人工知能(AI)が稼働するデータセンター(DC)で採用する半導体向けに「圧倒的な放熱伝導特性を持つ材料を拡充する」と強調した。2030年度の目標に掲げる全社事業利益550億円を確実にする施策と位置付ける。

記者会見する住友ベークライトの鍛治屋社長

 取得対象の事業所は神奈川県川崎市川崎区、栃木県真岡市、福島県郡山市、中国無錫市の4カ所。技術面の相乗効果に加え生産能力が拡大し「事業継続計画(BCP)対応面でも顧客にメリットある提案ができる」(鍛治屋氏)。

 同事業を吸収分割方式で承継する新会社の全株式を住友ベークライトが取得し傘下に置く。京セラからの事業取得は以前から検討してきたが、具体的な協議を行ったのは過去半年間とする。26年10月に取引完了を予定する。

 株式譲渡価額は300億円。24~26年度に実施する総額500億円規模の戦略的投資の一部で、既に発表した旭化成グループやAGCグループからの事業取得と合わせ400億円規模になり、なお100億円程度の余裕を残す。

 住友ベークライトは半導体パッケージの種類別に自社材料に強みがある分野をパワー向けのQFN、FC-BGA、メモリー向けのBOC、プロセッサー向けのFC-BGAと整理する。一方で京セラはメモリー向けFC-BGA、Flash-Stackが強いとみる。双方の技術を生かしメモリーで2.5D、3Dとも称する異種集積、3次元集積などの先端パッケージ向け材料を、パワーで部品内蔵基板向け材料を開発する方針。

 情報通信材料を担当する倉知圭介専務は、各材料の市場シェア拡大を利点として挙げた。また、開発予定の新材料の需要を期待できる背景について、パワーを例に「ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)と進むにつれ扱う電流が増え、いっそう熱管理に気を使わねばならない」と説明。DC向け、車載に共通する傾向とし、部品内蔵基板などの複雑な構造のパッケージで顕著とした。