2021.05.26 【次世代自動車用部品特集】 世界市場でEVシフトが加速各社、30年までに移行計画

米テスラ社の電気自動車「モデル3」

 世界の自動車市場では、2020年後半以降、自動車のEVシフトのスピードの加速が顕著となっている。欧州や中国など各国政府によるCO₂(二酸化炭素)排出規制強化やEV重視の方針が一段と強まり、これに合わせて主要自動車メーカー各社の電動車事業強化策なども相次ぎ公表されている。主要電子部品メーカー各社も、これらの動きを見据え、xEV用電子部品・モジュールへの技術開発を一段と加速させている。

 世界の自動車市場では、欧州市場や中国市場を軸に、EVシフト前倒し機運が確実に高まっている。

 ガソリン車の新車販売を規制する動きは、10年代後半以降、欧州地域が先行する形で、国別にさまざまな方針が打ち出されていたが、気候変動対策の重要性の高まりを背景に、ここにきて、多くの国や都市などによる新たな方針や目標の設定が相次いでいる。

 従来、40年以降にガソリン車やディーゼル車の国内販売を禁止する方針を発表していた英国政府は、20年11月、同計画の実施時期を30年へと大幅に前倒しすると発表した。加えて、ハイブリッド車(HEV)についても、35年に販売禁止とする方針を示した。

 世界最大のEV市場である中国では20年11月、35年には国内で販売する新車販売の全てを、NEV(新エネルギー車=EV、FCVなど)とHEVに切り替える方針を発表した。

 米国カリフォルニア州は20年9月、35年までにガソリン車販売を禁止するという方針を打ち出した。カナダケベック州も20年11月に、35年までにガソリン車販売を禁止すると発表した。

 各国は、これらの方針に合わせて、電動車シフトを加速させるためのさまざまな補助金政策や、ナンバープレート規制に関する優遇措置など、優遇策を打ち出している。中でも中国は国策として、化石燃料から電力ベースのエネルギーへのシフトを強力に推進中で、PM2.5による大気汚染対策も含め、今後も新エネルギー車購入へのさまざまな助成が実施されることが予測されている。

 これらの動きに呼応し、国内外の主要自動車メーカー各社でも、電動車事業強化やEVシフト前倒しに向けた新たな戦略の発表が相次いでいる。

 欧州プレミアムカーメーカーでは、スウェーデンのボルボが今年3月、30年までに全ての新車販売をEVにする計画を発表。英国ジャガー・ランドローバーも、30年までにジャガーブランドの新車をEVのみにすると発表した。日系自動車メーカーでは、ホンダが4月、40年に新車全てをEVまたはFCVにする計画を発表した。トヨタ自動車は5月、30年の電動車の世界販売台数を800万台とする新たな目標を発表した。

 世界第2位の自動車市場である米国は、EVシフトに関する方針は州によって大きく異なっているが、環境政策を重視するバイデン大統領の就任により、今後は電動車重視の機運が一層高まっていくことが予想されている。日本に関しても、菅義偉首相が打ち出した「カーボンニュートラル宣言」により、温室効果ガス削減の前倒し機運が高まっており、今後のEVシフトのスピードが速まることが予想されている。