2021.06.09 【ITサポートサービス特集】OKIクロステック医療など3分野に力、リモートメンテの領域拡大
毛利 専務
OKIクロステックは、他社機器の保守をさらに拡大するとともに、受電から訪問保守までのバックヤード業務全体をまとめて請け負えるようにしていく。コロナ禍での新たな保守対応にも力を入れ、リモートメンテナンス(遠隔保守)の対応領域を拡大する計画だ。
2019年4月に音声ネットワークの施工保守、電気工事などを手掛ける沖ウィンテック(OWT)とATM(現金自動預払機)やサーバーなどの保守運用を手掛ける沖電気カスタマアドテック(OCA)を統合した同社は、この2年で組織やシステム統合に取り組んできた。
専務執行役員の毛利誠二サポートサービス事業本部長は「今年4月にシステムを統合し、サービスや保守といった機能別組織としてスタートしている。統合3年目は成果につなげていく」と話す。
全国200拠点1200人のカスタマーエンジニア(CE)による24時間365日のサポート体制を敷き、20年度からはOKIグループの製品保守サポートに加え、「医療」「エネルギー」「ロボット」の3分野のサポートを重点領域に挙げてきた。今年度もこれら3分野の展開を継続する。「中でも医療分野に力を入れていく」(毛利専務)計画だ。
いち早く取り組んできた医療分野は、画像診断や計測機器、光学機器など全国規模でのサポート体制を整え、医療機器修理の専任技術者は約280人体制になった。
この1年は、海外企業やベンチャー系企業からの引き合いが増え新規案件の獲得もできているため、この流れを加速させる。
20年7月に業務提携した安田倉庫との取り組みも着実に進めていく。安田倉庫は「ローナー」と呼ぶ医療機器の貸し出しサービスをワンストップで支援するサービスを展開。毛利専務は「動きが出てきているため、今年度中に成果になってくる」とみる。ほかにも、オンライン資格確認の導入も始まっている。パートナー企業と協業し、導入支援にも取り組んでいく。
エネルギーとロボットの分野は、中長期視点で取り組む。エネルギーはビルの省エネ化への取り組みを進め、工事案件の獲得から保守につなげていく計画。ロボットは搬送ロボットや清掃ロボットなどの案件が増えてきた。「導入段階のところも多いため、今後保守につなげていく」(毛利専務)という。
リモートメンテナンスも重点施策として取り組む。OKIグループのATM保守運用ノウハウを生かしたハイアベイラビリティー(HA=高可用性)保守サービスをほかの領域にも展開していく。
まずは、電話交換機(PBX)の保守のHA化を進める考え。毛利専務は「コロナ禍で訪問保守を好まない顧客もいるため、オンサイト保守が中心のPBXをリモートメンテナンス化する」と話す。
社内のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)化にも取り組んでいく。CE支援システムに蓄積されているデータを分析し効率化していくほか、コンタクトセンターの受け付けから遠隔監視、運用、訪問保守対応までのバックヤード業務のシステム化と効率化を図る。
同時にバックヤード業務の請負も強化し、医療機器をはじめ他社機器の保守案件はバックヤード業務をまとめて受けていく。
毛利専務は「デジタル化などへの投資を進めるとともに、効率化をさらに図ることで収益化を進めていきたい」と話している。