2021.09.03 【支える半導体製造】ホロンフォトマスクの線幅測定、高分解能の走査型電子顕微鏡

フォトマスク測長用のCD-SEM「ZX」

分析用SEM「LEXa-10」分析用SEM「LEXa-10」

 回路パターンをウエハー上に転写する際に使用されるマスク(レチクル)。その原版の寸法を測定するのがホロンのCD-SEM(測長用走査型電子顕微鏡)だ。マスクメーカーで線幅測定に使用される。

 研究用と違い、生産設備で使うSEMは対象物を非破壊で高速に測る必要がある。

 分子との衝突を避けるため、SEMは電子ビームを真空で照射。サンプルは真空チャンバーに装塡(そうてん)する。

 チャンバー開閉の際は大気に開放されるため、そのつど真空に戻す必要があるが、生産設備向けのSEMでは自動でサンプルを出し入れし、真空状態を維持する。

 マスクは製造後、半導体工場に納入する前に測長データを添付する。リソグラフィーのパラメーターはそのデータに基づき設定される。

 ウエハー表面にマスクを通してレーザー光を照射し、マスクパターンを4分の1に縮小して転写するのが露光プロセスだ。

 電子顕微鏡では、画像を形成する際の収差(結像の際のボケ)があるとぼやけてしまう。ホロンのCD-SEM「ZX(ゼットテン)」は、電子ビームが通るカラム(鏡筒)を改良し、収差を極力取り除くことで高い分解能(1.5ナノメートル)を実現した。

 ZXは2017年に発売後、先端品の工場に納入。現在、来年末のリリースを目指して次世代機の開発を進めている。

 一方、欠陥を評価するLEXa-10も電子ビームを用いた装置。マスク表面の不要な元素の微小粒子(パーティクル)を検出する。

 電子ビームを照射する際、プローブカレント(サンプルに照射されるプローブ内の電流)を調整し、試料へのダメージを抑制するのが特長だ。

 通常のSEMでは、ビームの加速電圧は10~15kV。LEXa-10では7kV以下に落とした。

 最小の加速電圧は0.5kVのスペックを持つが、張皓社長は「重元素の場合、あまり加速電圧が低いと検出が難しくなる」と指摘。検出可能で、かつ試料の損傷を必要最小限に抑えた測定ができる。

 マスクの欠陥を観察するには、まず欠陥の場所を示す座標を記録し、その座標に基づき分析を行う。X線のスペクトルをデータベース上のスペクトルと照合して、不要な元素を特定する。

 マスク表面の微小粒子が、どの製造プロセスで生じたのか原因把握につなげることができる。

 半導体検査・測定に対するニーズの急増に伴い、7月に東京都立川市に本社を移転した。クリーンルームの面積は約3倍になった。製造能力を従来比2倍の年間20基超に引き上げた。

 親会社のエー・アンド・デイと次世代SEMの共同開発に力を入れる。(おわり)