2020.02.19 電機各社、新型コロナウイルス感染防止に動く テレワークや時差出勤推奨
新型コロナウイルスのイメージ
新型コロナウイルスの国内での感染が拡大していることを受け、主要電機各社も対策に動き始めた。
従業員への感染を防ぐため、17日からテレワークや時差出勤などを働きかける企業や、具体的な対策について検討を始めるところが増えてきた。日々感染の範囲が拡大する中、各社は状況を注視しながら対応を進めている。
千葉県でウイルス感染が確認された20歳代の男性がNTTデータの協力会社社員だったことから、同社をはじめNTTグループではいち早く20万人の従業員に対し、テレワークや時差出勤の実施を呼びかけている。
持ち株会社のNTTによると14日に傘下のNTTドコモや東西地域会社、NTTデータなどに通達。感染防止に向けて、大人数が集まる会議の自粛も求め、テレビ会議や電話会議にするよう促しているという。
KDDIは17日に派遣社員を含む約1万6000人を対象にテレワークや時差出勤を推奨する社内通達を出し、18日から実施。100人以上が参加する社外イベントは、1月27日に設置した社内対策本部で開催の可否を検討している。
ソフトバンクは国内約1万7000人の全社員に対し満員電車を避け時差通勤するよう呼びかけた。テレワークは、月5回を上限に在宅勤務を推奨してきたが、妊婦や基礎疾患のある社員は上限を撤廃。「今後については状況を見ながら判断していく」という。
主要電機では、ソニーが18日からテレワークと時差出勤を本格化。フレックスタイムは、コア時間を午前9時30分-午後3時30分から正午-午後3時30分に短縮。固定勤務者は午前9時から正午まで15分単位でシフトできるようにした。テレワークは対象者を拡大するとともに、月10回までの上限を当面撤廃することを決めた。
三菱電機は国内に勤務する3万5000人を対象に、テレワークや時差出勤を積極的に検討するよう17日に指示を出した。工場でも対応できる管理部門などは対象。多くの人が集まる会議や研修、不急の出張は極力延期することも指示し、対応を進めている。
NECは17日からグループ従業員約6万人に対しテレワークと時差出勤を呼びかけている。テレワークは働き方改革の一環で本格的に運用を始めており、制度の範囲内での活用を進める。20日には「テレワーク・デイ」と命名し、グループ全社員一斉のテレワークも行う予定だ。
富士通は18日から、既に導入しているテレワーク勤務制度やフレックスタイム制度の活用の奨励を従業員に対して始めた。終日テレワークを行う際の上限は週2回、月8回までだが、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患と診断されたり、妊娠中の場合は上限を超えて実施できるという。
東芝は18日、車谷暢昭会長直轄の「総合COVID対策本部」を立ち上げ、各部門が横断して影響の確認を開始。同日付で国内全従業員8万人を対象に、上限を設けない在宅勤務と時差通勤の推奨を通達した。併せて相対する会議の自粛と社内外の会食なども中止や延期するよう働きかけている。
日立製作所は既に適用しているテレワーク勤務制度の範囲内で部門ごとに対応を進めている段階で「全社的な対応策は検討中」(同社)という。
パナソニックやシャープは現状ではテレワークや時差出勤への特別対応はしておらず、フレックスや在宅勤務など既存制度内での対応を行っている。ダイキン工業も現状では特別な対応をしていないが「各社の動きを見ながら対応する」(同社)としている。(2月19日付1面に掲載)