2024.03.18 「AI用半導体に」 高密度実装向け新材料、東レが28年に量産へ

ポリマーを用いたハイブリッドボンディング後の断面写真

3次元実装パッケージ断面模式図とバンプ有無によるパッケージ密度の違い3次元実装パッケージ断面模式図とバンプ有無によるパッケージ密度の違い

 東レが、半導体の高密度実装を実現するハイブリッドボンディング(微細接合)に対応した新たな絶縁樹脂材料を開発した。人口知能(AI)を使って高速演算を実現する高性能半導体への採用を狙う。2028年からの量産開始を目指しており、30年には年間100億円から200億円規模の売上高を目指している。

 開発した新材料は、半導体やディスプレイ向けの絶縁樹脂材料として展開するポリイミドコーティング剤をベースにしている。従来のポリイミドコーティング剤と、同社が持つ加工・接合技術を融合した形だ。

 近年の高性能パッケージング技術の1つに、半導体チップを縦積みする3次元実装がある。その中でも特に、ハンダで接合された隣り合う電極の間隔であるバンプピッチが10マイクロメートル以下の微細構造を必要とする高性能半導体チップでは、ハイブリッドボンディングの適用が期待されている。

 ハイブリッドボンディングは、従来の3次元実装技術とは異なり、バンプを用いずに金属配線同士を直接接合させ、配線距離の短縮が可能。同社は、半導体分野の研究機関であるシンガポールのIMEと連携し、ハイブリッドボンディングの実証実験を20年から進めていた。

 同社は、高速通信機器やサーバー向けの高性能な半導体パッケージで、開発した新材料の採用を目指している。今後、試作や顧客へのサンプル提供を本格化させ、25年の材料認定、28年の量産開始を目指す。

(後日電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)