2020.04.24 【スマホ用部品特集】スマホ用部品 次世代高機能モデルに照準 「5G元年」需要増に期待
電子部品メーカー各社は、次世代移動通信規格の5Gをはじめとする次世代高機能スマートフォンに照準を合わせた技術開発に力を注いでいる。
スマホの高機能化により、搭載部品への技術要求は一段と高度化している。特に最近は5G市場での主導権を巡り、端末メーカー各社の5Gスマホ開発競争が激化しており、搭載部品にも一層のイノベーションが求められている。
電子部品各社は、5G市場が本格化する中で、今後もスマホ用部品ビジネスの継続的な拡大を目指す。
スマホの世界需要は、年間15億台前後に達する。スマホの世界出荷台数は16年をピークに17年以降は漸減傾向にあるが、際立ってボリュームの大きい市場であるだけに、電子部品メーカー各社のスマホ市場重視の姿勢に変化はない。
加えて、世界のスマホ市場では、新興国を含め、高機能化・ハイエンド化や、マルチバンド化などによる端末の高付加価値化が一段と進み、搭載部品の付加価値向上や新たな電子部品需要増大を促進している。
19年の世界のスマホ市場は、前年から続いた米中貿易摩擦激化の影響や端末買い替えサイクルの長期化傾向、5Gの本格実用化を前にした買い控えなどもあり、やや低調な推移が続いたが、そうした中でも中国系大手スマホメーカーの生産は堅調さが継続し、19年の春から秋にかけて、比較的好調に推移した。
一部の地域では5Gサービスが先行的にスタートし、5Gスマホの需要増大も関連部品需要をけん引した。
一方、20年は「5G元年」と位置付けられ、年初段階では5Gスマホをけん引役に、世界のスマホ出荷台数は反転上昇が期待されていた。
直近では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、20年の世界のスマホ需要は当初の予測に比較して1割程度減少するとの試算も発表されているが、「5G元年」の位置付けに変化はなく、主要スマホメーカー各社の5G端末投入拡大に合わせ、年後半に向けて需要の盛り上がりが期待されている。
日本市場でも20年3月以降、主要携帯キャリア各社が順次、5Gの商用サービスをスタート。さらに第4のキャリアとして楽天モバイルのスマホ市場参入もあり、今後の市場活性化につながるものとして期待されている。
今後の世界のスマホ市場は、普及一巡と買い替えサイクル長期化などにより、台数ベースでの高い成長は見込みにくいものの、高性能なフォルダブル端末をはじめとする端末の一層の高機能化が、搭載部品のハイエンド化を促進する見通し。
5Gスマホシェア拡大へ 部品各社、内外で営業強化
最近の新型スマホは、ディスプレイの大画面・高精細化・フルフラット化、内蔵カメラの高性能化と搭載数量増加、伝送速度の向上、メモリーの大容量化、内蔵バッテリの性能向上などが進み、新たなセンサーや機能モジュールの搭載が進んでいる。
同時に、高密度化の進展により、基板搭載部品や内部接続部品のさらなる微細化、パッケージング技術の高度化などが進展している。
中でも、最近はスマホ1台当たりのカメラ搭載数量は右肩上がりが続いており、米アップルがカメラ3個を搭載した新型アイフォーンを発売したほか、中国系大手端末メーカーなどでは、4個のカメラを搭載したハイエンドモデルなども発売されている。
5Gスマホ向けに、小型のミリ波帯対応デバイスの開発も活発化している。スマホの1充電当たりの使用時間の長時間化や急速充電技術の拡充も進展し、高容量対応のパワー系デバイスへの置き換えなどが進んでいる。さらに、有機ELディスプレイを搭載したフォルダブル端末も発表されるなど、次世代スマホの開発競争に一層拍車がかかっている。
こうしたスマホの技術進化に対し、電子部品各社は既存部品のブラッシュアップを図るとともに、新機能搭載や5G化に対応するための新たな電子部品の開発に全力を挙げている。
営業活動面では、勢いのある海外有力スマホメーカーへのアプローチがより重要視されており、主要電子部品各社はアップル、サムスン電子、ファーウェイの世界の3強メーカーへの密着を進めるとともに、それ以外の業績好調メーカーへのアプローチを強めている。
同時に、最近は日系スマホメーカーの5G端末のリリースなども進展しているため、部品各社は国内外でのマーケティングを強化することで、5Gスマホ市場でのシェア拡大を目指す。
世界のスマホ市場では、市場の成熟化が進む中で、端末メーカー同士のシェア向上に向けた競争が一段と激化している。
米国、韓国、中国などのトップクラスのメーカーでは、各社ともにデザイン性なども含めた独自性の発揮に従来以上に力を注いでおり、技術力のある電子部品企業にとってはチャンスとなる。
電子部品各社は「5G元年」とされる20年を重要な年に位置付け、スマホの技術進化や市場変化に迅速に対応していくことで、継続的なビジネス拡大を目指す。