2020.04.24 【スマホ用部品特集】回路部品 5Gで超小型部品の搭載高まる
5G用スマホでは、チップ部品の小型、薄型品の搭載比率が一段と高まる
スマートフォンは小さい面積に多機能を搭載するため、高密度実装化が進展している。特に5G用スマホの実装密度はいっそう高まっており、回路部品は超小型チップ部品の搭載化率が一段とアップした。
スマホは小型化と比較的大型製品へと二極化しているが、いずれにも共通するのは高機能化技術が向上している点。そのため、実装技術が飛躍的に高密度化しており、プリント配線板は微細化され、実装されるチップ部品は総体的に小型化シフトが進む。
5G用スマホでは、高周波領域を利用し、高速、多機能、低遅延、多接続化するために、実装技術の高度化がこれまで以上に求められる。
プリント配線板は、現在エニーレイヤー工法のビルドアップ多層板が使用されているが、ローコスト機種から高機能機種まで、基板の層数と微細化の仕様は異なる。その中で、高機能機種では10層以上、L/S=50マイクロメートル/50マイクロメートル程度まで微細化。
今後、回路形成はこれまでの一般的なエッチング法から、めっきによる回路形成であるMSAP工法が取り入れられることによって、飛躍的に回路の微細化が進み、L/S=25マイクロメートル/25マイクロメートル程度までファイン化する。部品の実装技術が飛躍的に高密度化することになる。
積層セラミックコンデンサ(MLCC)は高級機種で800個以上が搭載され、チップ抵抗器も400個内外が実装される。これらには静電容量や抵抗値、さらには定格電力、定格電圧などにより、各種サイズが混在している。
高密度実装化を推進するため、小型で大容量化するMLCC、小型で高耐電圧化するチップ抵抗器を使用する傾向が高まっており、1608サイズから1005サイズの搭載点数を削減し、0603サイズ、0402サイズといった超小型チップの搭載点数の比率を上げる方向にある。この傾向は、5G用スマホで一段と強い。
既に0201サイズまでチップ部品は小型化しているが、コスト、実装信頼性、部品調達の安定性などの様々な視点から、当面は0402サイズと0603サイズの採用がさらに広がるものと見られる。
電源回路を省スペース化するためにパワーインダクタの小型化技術も向上。フェライト系から大電流対応で有利なメタル系の新製品開発が巻線、薄膜、積層の加工工法で活発化している。
水晶デバイスは5G用スマホ向けに、基本的にはパッケージの小型、薄型化を推進。温度センサー内蔵水晶振動子では、1612サイズで厚みが0.45ミリメートルまで超薄型化した。さらに、1210サイズへと小型、薄型化技術が進む。
TCXOの場合もセラミックパッケージの薄型化、水晶チップの小型化、封止技術の高度化などによって1612サイズまで小型化しているが、新たに1210サイズが開発された。
アプリケーション用クロックでは水晶振動子で1210サイズ、クロック用発振器としては2016程度まで小型化。
また、音叉型水晶振動子は1610サイズ、RF用の高精度水晶振動子は1210サイズへと小型化した。最近では1008サイズまで小型化を実現している。