2025.07.11 【電子部品技術総合特集】岡谷電機産業 矢﨑秀延執行役員技術本部長

矢﨑 執行役員

東南アジアで空調開拓

高耐湿フィルムキャパシター

 岡谷電機産業はコロナ禍を経て変化した市場環境に合わせ、昨年後半から技術革新と新製品開発を加速してきた。東南アジアの空調に適した高耐湿キャパシター、北米の半導体製造装置向け規制に合わせたノイズフィルター、自動車メーカー向けノイズ対策部品群が代表例。矢﨑秀延執行役員技術本部長は「会社の力は商品の力」と語り、国内外を行き来して陣頭指揮を執る。

 新たにリリース予定の耐環境性向上フィルムキャパシターは、ASEAN地域などに向けた日系空調メーカーの電源ライン間ノイズ対策需要を意識。高温高湿バイアス(THB)試験が加わった先進の国際基準「IEC 60384-14 Ed.5.0」に準拠する。

 上位の「LE-RX」シリーズはさらに、温度85度、湿度85%の環境でも容量低下が1000時間で5%以下に収まる規格「ANNEX I GradeⅢB」を取得。小型の「LE-NX」シリーズは海外メーカーの消費者向け製品でも採用を狙う。長野事業所(長野県岡谷市)で樹脂材料から見直すほか、素子自体の品質も向上させている。

 北米の短絡電流定格(SCCR)記載義務に対応したノイズフィルターには、より高いSCCR値の要求がある半導体製造装置向け業界規格「SEMI S22」を満たす製品「SPD」を用意。既に取得済みの「SCCR=36kA」に加えて「SCCR=10kA」を申請中だ。

 アレスターでは従来のガラス製から、コストを意識してセラミック製への移行を急ぐ。ノイズフィルターやアレスターの技術革新は埼玉事業所(埼玉県行田市)が手掛ける。

 昨年まで「腰を据えて展開する」としていた車載向けも加速。各部品を自動車メーカーの規格に準拠させ、大きな進展をみた。「コンデンサー、アレスター、コイルなど電源のノイズ対策部品を一社でそろえられる強みが評価を得た」と矢﨑執行役員は語る。