2025.07.24 【ケーブルコンベンション/ケーブル技術ショー特集】日本ケーブルラボ、「AI&オールIP」「有線」「無線」「サービス品質」「新サービス」を重点分野

 日本ケーブルラボ(ラボ)は、2025年度事業計画において、〝ケーブルテレビの再発明〟を目指して、「AI(人工知能)&オールIP」「有線」「無線」「サービス品質」「新サービス」の五つの分野を重点分野と定義し、ケーブル事業に必要なさまざまな技術に関する調査研究や技術実証を進めている。

 「オールIP」を中心に据え、横軸にインフラ技術軸(有線⇔オールIP⇔無線)、縦軸にサービス技術軸(新サービス⇔オールIP⇔サービス品質)を置いて活動を推進している。今後、全ての分野に関連する技術として、AIをあらゆる領域に活用する。25年度から「AI&オールIP」として扱うことを決め、〝ケーブルテレビの再発明〟を目指す。

 ラボでは、新技術をいち早くケーブルテレビ事業に活用し、〝ケーブルテレビの再発明〟に資するよう、調査研究や技術実証に取り組んでいる。

 技術の視点では、昨年は生成AIの活用がさまざまな分野で進展した。

 生成AIに関しては、ラボがこれまでに制定した各種の運用仕様書や調査研究報告書などのドキュメントをAIに学習させ、利用者の知識や技術レベルに合わせて説明させるという実証実験を行ってきた。

 昨年11月に開催した「ラボ オータムセミナー」では、AIによる同時通訳システムを導入し、同時通訳に要していた労力・コストの削減にも努めた。

 ラボはシンクタンク的な役割も果たしており、さまざまな情報調査を実施し、それを研究・整理して発信している。委員会を通しての発信ではなく、ラボが直接、事業者に発信する。

 その一つが、ラボシンクタンクから事業者への情報発信の場としてラボ内に設置している「近未来ルーム」だ。昨年は約70社の事業者といろいろな新しいサービスなどについて議論した。

 近未来ルームでは、世界各国のFAST(広告付き無料動画配信サービス)を視聴できるほか、長距離で動画も伝送可能なWi-Fi HaLow(ワイファイ・ヘイロー)の実機展示などを行っている。Wi-Fi HaLowは、従来のWi-Fi規格よりも低い周波数帯(920メガヘルツ帯)を使用することで、長距離通信と低消費電力を実現した。

 ケーブル技術ショーでは、近未来ルームでの紹介事例として、急成長するデジタルヒューマン市場を見据えたAIアナウンサーのデモ展示と、原稿をその場で作りAIアナウンサーが読み上げるなど、コンテンツ制作への生成AI活用ソリューションを展示する。

 近未来を想定したソリューションの一つとして、自社コンテンツだけでなく、デジタルヒューマンを活用したサポートや、企業紹介動画などでの利用を想定したBtoBへの活用など、課題解決を提案する。