2025.09.30 【電波新聞75周年特集】75年 これまでとこれから 電子部品・デバイス
小型高性能化は今後も続く(超薄型メタル系パワーインダクター)
IT・エレクトロニクス技術の進化を背景に、電子部品・デバイス技術の高度化が一段と進んでいる。戦後の80年間で、日本の電子部品・デバイス産業は劇的な発展を遂げた。現在のIT・エレクトロニクス市場は、生成AI(人工知能)やモビリティー革新、デジタル化、脱炭素/カーボンニュートラルなどをキーワードとした大変革期にある。電子部品・デバイス各社は、今後もイノベーションによる事業成長と社会貢献を目指す。
戦後の日本の電子部品産業は、ラジオ、オーディオ、テレビ、VTR、OA機器、パソコン(PC)と、次々とけん引役アプリケーションが変化する中で順調な拡大・発展を遂げてきた。
特に平成以降は本格的なデジタル化、IT時代が到来し、インターネットの普及が進む中、ノートPCや携帯電話の需要が爆発的に増加。21世紀以降は、スマートフォン需要の急増や車載電装機器市場の拡大などがさらに電子部品・デバイス需要を押し上げた。
この間、1990年のバブル崩壊や01年のITバブル崩壊、08年のリーマンショック、11年の東日本大震災、20年のコロナショックなど、さまざまな外部要因の影響を受けるとともに、アジア系電子部品企業の追い上げも進んだが、日本の電子部品市場は中長期トレンドとしては右肩上がりで推移し現在に至っている。
市場革新や技術革新の先導役
現在の電子部品・デバイス市場では、市場変化や技術変化のスピードがいっそう速まっている。コロナ禍を契機としたニューノーマル時代の到来は社会全体のデジタル化を加速させ、さらに、生成AIの普及が産業界全体のイノベーションを促進する。
少子高齢化で自動化・省人化ニーズも一段と高まり、脱炭素への対応も要求されている。電子部品・デバイス産業は、こうした市場革新や技術革新の先導役として、重要性がより増していく。
電子部品 小型・高性能化で成長続く
世界の電子部品市場は、電子機器の小型・高性能化や車載電装技術の高度化、産業機器/インフラ市場の広がりなどに伴い、今後も継続的な成長が見込まれる。日本の電子部品産業はグローバル市場で約33%のシェアを持ち、特に先端分野における高い技術力が評価されている。業界が大きく変革していく中で、日本の電子部品メーカーの役割はますます重要性を増すことが予想される。
回路部品は、高度化する無線通信分野に向け、高周波、高速、大容量などのニーズに対応した高性能な超小型部品へのニーズが増大。次世代の6G通信などに照準を合わせた端末用・基地局用部品の開発が今後加速していく見込みだ。モバイル端末用では、0201サイズなどの超小型チップ部品の開発が進展する。
車載用では、CASEをメガトレンドとする自動車の高機能化に伴う搭載部品の点数増や、自動車アーキテクチャーの変化に伴う統合ECU化などの流れが、より高性能な回路部品需要を創出する。AIサーバーの高性能化に対応する液浸冷却対応部品などの開発も加速している。
接続部品は、コネクターは5Gスマホやフォルダブル端末、ウエアラブル端末などの高機能端末向けに、高速伝送対応かつ超小型の内部接続コネクター開発が活発化している。車載では、次世代車載イーサネット対応やxEV向けの800V対応接続ソリューションなどの提案が進展。
産機用では、次世代テレコム/データコム向けの高速伝送対応コネクションシステムや大電流・高耐圧対応製品、次世代光ソリューションの提案が活発になっている。
変換部品は、次世代省エネモーターや、完全自動運転車に焦点を当てた新たな車室内エンターテインメント用部品の開発などが進む見通しだ。