2025.09.30 【電波新聞75周年特集】75年 これまでとこれから 半導体
ラピダスの2ナノメートルプロセスによる試作ウエハー
最先端ロジック、メモリーに力
世界半導体市場統計(WSTS)が6月にまとめた春季予測では、24年の世界半導体市場は前年比19.7%増の6305億4900万ドル(約94兆5823億円)となり、過去最高を更新した。AI向けデータセンター(DC)投資に連動したメモリーやGPUなどがけん引し、自動車を含む他の用途の低調を補った。
25年もDC投資の恩恵が続き同11.2%増を見込む。中国の補助金政策によって年前半にスマホや家電向けなどに押し上げ要因があったが、関税問題や輸出規制を含む地政学的リスクの高まりが不透明要素になる。
半導体製造装置材料の国際団体SEMIが7月にまとめた世界半導体製造装置の25年央市場予測は、半導体製造装置(新品)の世界売上高が前年比7.4%増の1255億ドル(約18兆8250億円)でやはり記録更新を予測。26年も成長し最先端ロジック、メモリーがけん引する。
電波新聞の取材では25年夏にかけて国内商社や外資系電子部品メーカーから先端プロセスの装置向け案件で手応えありとの声が聞こえ、2ナノメートル以細への動きは着実だ。
半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と垂直統合型デバイスメーカー(IDM)の韓国サムスン電子は2ナノメートルプロセス、IDMの米インテルはそれらと競合する1.8ナノメートルプロセスでの量産を25年にそれぞれ開始予定だ。
日本ではファウンドリーのRapidus(ラピダス)が7月に2ナノメートルプロセスの試作ウエハーを公開した。27年に量産開始を予定している。1950年に逓信省電気通信研究所がトランジスタの動作確認に日本で初めて成功してから75年。本邦でいまだやまない技術の発展を示した。