2025.10.01 「RISC-Vは隠れたチャンピオンに」 独インフィニオン、オープンな命令セットをアピール

セミナーには多くの来場者が集った。神戸社長は「(来場者の)質問のレベルが高い」とも語る

シュナイド氏は「RISC-Vのイノベーションを共に推し進めたい」と呼びかけたシュナイド氏は「RISC-Vのイノベーションを共に推し進めたい」と呼びかけた

 独半導体大手のインフィニオン・テクノロジーズは9月末、同社が車載向けに採用するオープンソースの命令セット(ISA)、「RISC-V(リスク・ファイブ)」について、日本の顧客向けにセミナーを開催した。Tier1メーカー、ソフトウエアベンダー、OEM各社などから関係者が集った。車載半導体の開発時間やコストの削減、設計の自由度の拡大など、RISC-Vの利点をアピールした。

 「RISC-Vへの高い期待値を感じる」。都内で催されたイベントの冒頭、インフィニオン日本法人の神戸肇社長は、多くの席が埋まった会場を見渡し、こう語った。同社は3月にRISC-Vを採用した車載マイコンファミリーを数年以内に展開すると発表。世界中の顧客に向けて周知を進めている。実際、Q&Aセッションでは時間が足りなくなるほど質問が飛び交い、来場者の高い熱量も感じられた。

 ISAは、英Armが半導体設計情報IP(知的財産)とともに提供しているものが業界では広く知られる。インフィニオンはArmコアに加え、独自で設計したTriCore(トライコア)搭載の製品を展開しており、それにRISC-V製品を加える計画だ。

 RISC-Vは、オープンソースであることが最大の特徴で、標準化による半導体の設計コストや開発期間の短縮が期待される。エコシステムの連携により、設計の自由度向上も見込まれる。

 イベントでは、同社のオートモーティブ事業部でシニアディレクターを務めるトーマス・シュナイド氏も登壇。「RISC-Vは間もなく隠れたチャンピオンになる」と力説し、RISC-Vを中心としたエコシステム形成の重要性や日本企業の参画を訴えた。