2025.10.07 情報システム業務委託 6割が「月20時間以上」削減実感 SmartHRの調査
情報システムBPOを導入して良かった点(出所:SmartHR)
情報システム業務の一部を外部に委託(アウトソーシング)している企業の62.7%が「月20時間以上の工数削減」を実感――。クラウド人事労務ソフトを運営するSmartHR(東京都港区)が実施した同業務のアウトソーシング実態調査で、そんな傾向が浮き彫りになった。導入効果は「IT業務全体の効率向上」が最多であることも分かった。
企業の業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託することを「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)」と呼ぶ。今回の調査は、情報システム業務のBPOサービスに委託している企業のシステム担当者327人を対象に7月に実施した。
BPOの対象となる情報システム業務について複数回答で尋ねると、は、「システム監視・運用」が50.5%で最多。これに「アカウント管理、権限設定」(44.6%)や「ヘルプデスク・問い合わせ対応」(40.7%)などが続いた。
情報システムBPOの導入後にトータルで毎月削減できた作業時間」について聞くと、「20~30時間未満」が最も多く30.9%。20時間以上の回答を合算すると、約6割に達した。
情報システムBPOを導入して良かったと思うことを複数回答で問うと、「社内のIT業務全体の効率が向上した」が43.4%で最も多かった。次いで「コスト削減につながった」が40.1%、「社内の人手不足を補えた」が39.8%という回答となった。
一方、現在利用中の情報システムBPOに対して不満に感じている点や課題を複数回答で尋ねると、「社内の意図や業務内容を正しく理解していない」(37.3%)、「業務品質にムラがある・ミスがある」(35.2%)、「対応範囲が限られており、柔軟な対応ができない」(30.6%)という回答が上位に入った。
「勤怠・労務情報」との連携に期待
情報システムBPOの効果をさらに高めるために今後連携が進むと良いと感じる部門や情報について複数回答で聞くと、約半数が「勤怠・労務情報」と答えた。
同社プロダクトマーケティング本部情シスプロダクトユニットの古川和芳氏は「情報システム業務のアウトソーシングは、まず『属人化の解消』や『定型業務の効率化』といった第一段階の成果をもたらした。次の段階では、従業員情報をマスターデータとしてBPO事業者とリアルタイムに連携し、入社・異動・退職といった従業員のライフサイクルイベントに応じてIT業務を自動化することが重要」とコメントしている。
企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を促す中、情報システム部門の業務負荷が増大している。実際、同社が同部門で決裁権を持つ層を対象に昨年9月に意識調査を行ったところ、32%が「昨年より残業時間が増えた」と答えた。また、DX戦略の策定やDX人材の育成などの「戦略系業務」に割ける時間が不足していると感じる層が5割超に達していることも分かった。こうした中、同部門の業務効率化を進める手段として、情報システムBPOの重要性が高まっている。