2025.10.09 日立と三菱UFJ銀、「再生材マーケットプレイス」参画企業に金融機能提供へ検討
再生材マーケットプレイスと3社の役割(出所:日立製作所)
日立製作所と日立ハイテク、三菱UFJ銀行は、リサイクルプラスチックをはじめとした再生材の活用促進を支援する「再生材マーケットプレイス」の事業化に向けて、金融機能の提供に向けた検討に関する基本合意書を結んだ。循環型社会の実現を支える新しい取引インフラを確立し、再生材市場での持続的な成長の機会や長期的な価値の創出を後押しする。
再生材マーケットプレイスは、再生材を原材料として購入したい買い手と、廃材を再生材として循環させたい売り手をつなぐ仕組み。この中で三菱UFJ銀は売り手企業の資金調達を支援。日立はマーケットプレイスのサービス開発、日立ハイテクは再生材のトレーディング(売買取引)と受託評価サービスを担う。
まずは、三菱UFJ 銀が提供する買い手の信用力に依拠したサプライチェーンファイナンスの活用を検討。再生材マーケットプレイスを通じて再生材の売買が成立し、発生した売掛債権を無審査やノンリコース(非遡及)で早期に資金化することで、再生材マーケットプレイスに参加する売り手の資金調達を後押しする。
2026年度のサービスの提供に向けて、年内にファイナンスニーズの調査や検証を始める予定。実際に売り手と買い手に再生材マーケットプレイスを利用してもらい、デジタル技術を用いて材料開発の効率を高める手法「マテリアルズ・インフォマティクス」や「生成AI」などの有用性について実証を進める予定だ。
資源を効率よく循環させる「サーキュラーエコノミー(循環経済)」が注目を集める中、再生材の活用や製造工程で発生する廃材の再資源化のニーズが高まっている。ただ、廃材由来の再生材は、品質が安定せず物量が変動しやすいため、取り扱いが容易でなく、買い手と売り手である供給元(リサイクラー)とのマッチングが難しいという課題があった。また今後は、再生材の需要が増える見通しで、再生材製造に関与する企業への資金面でのサポートの重要性が増すと予想されている。こうした中で3社は、知見や技術を結集することで再生材の利用促進に貢献できると考え、今回の合意書の締結に至った。