2025.10.30 大同特殊鋼、医療分野向けチタン生産増強
知多第2工場のチタン用VAR
大同特殊鋼株は、医療分野向けで需要の拡大が見込まれるチタン合金の生産能力を拡大するため、知多第2工場(愛知県知多市)でチタン用真空アーク再溶解炉(VAR) の1基目が10月に営業運転を開始した。2基目は2026 年7月の稼働する予定。合計41億円を投じ、チタンの生産能力を現状比約20%増とする。
VARは、一次溶解で溶解・造塊した鋼塊を消耗電極として通電し、高真空下でアーク発熱させることで溶解する溶解炉。鋼中のガス成分を低減しながら、介在物を浮上促進させ除去することで、高い清浄度を実現できる。また、急速冷却により部位によるばらつきが少ない均質な組織を得られる。
チタン合金は、軽さと強度を兼ね備え、優れた耐食性や生体適合性を持つ。航空機や医療分野といった産業用途に加え、めがねやゴルフクラブといった民生品にも使用されている。
特に、医療分野では、世界的な人口の増加と、人工骨やインプラント、その他医療器など高度医療におけるニーズの高まりで、チタン合金の中長期的な需要拡大が見込まれている。
同社はこうした製造能力の増強とともに、海外での拡販活動などを推進することで、チタンの受注量を 30年には 18年対比で約2倍にし、医療用チタン製品の世界シェアを現状の10%程度から30年に20%とすることを目指していく。







