2025.11.05 データセンター冷却ソリューション提供の米チルダイン社買収 ダイキン工業の米子会社
ダイキン工業の子会社ダイキンアプライドアメリカズ社(Daikin Applied Americas/DAA社、米国ミネソタ州ミネアポリス)は4日(米国時間)、AI(人工知能)データセンター(DC)向けに負圧式液体冷却システムで実績を持つチルダイン社(Chilldyne、本社:米国カリフォルニア州サンディエゴ)を買収したと発表した。
買収により、DAA社の既存のDC向けソリューションの製品群を補完し、持続可能で高効率な冷却技術を提供する取り組みをさらに強化する。
安定稼働が求められるハイパースケールのAIデータセンターに対し信頼性の高い包括的な冷却ソリューションを提供するダイキンのミッションを後押しする。
DAA社の西脇優COOは、「チルダイン社の買収により、DAA社にとってAI 向けDC冷却分野での存在感を高める上で大きな強みになる」とコメント。 「多様化するニーズに応える包括的なDC向け冷却ソリューションを提供できる体制を整え、高効率かつ安定稼働を支えるシステムを獲得できる」と強調した。
チルダイン社が提供する負圧方式の液体冷却システムは、従来の陽圧方式に比べてシステムコストや冷却の対象であるサーバーの安全性で優位性がある。同社が特許取得済みの冷却水分配装置(CDU:Cooling Distribution Unit)技術は負圧システムの採用により、従来課題となっていたサーバールーム内での冷却液漏れのリスクを低減しながらチップレベルの冷却を実現する。
同システムは冷却液がコールドプレートを介してサーバーから安全で効率的に熱を直接除去し、最新のGPU(画像処理半導体)サーバーを安定して稼働させるとともに、液漏れを防ぎ、冷却システムの設置・運転コストの削減や顧客の資産であるサーバーの保護に貢献する。
さらに、チルダイン社のソリューションは、設置の簡素化、冷却システムコストとデータセンターの稼働停止リスクの低減、エネルギー効率の向上など、AI向けDCなどのデータ集約型環境に多くの利点をもたらすという。特に高性能コンピューティングやAI用途のように熱負荷が大きい場面では、液冷技術が不可欠となる。チルダイン社のSteve Harrington CEOは、「DAA社に加わることで、われわれは次世代の液冷エコシステムを迅速に拡大し、グローバルなデータセンターへの導入を加速できる」と述べる。
チルダイン社と、25年8月にDAA社が買収したDDC Solutions社は、同社のモジュラー高密度冷却キャビネットとチルダイン社の液体冷却システムを組み合わせたソリューションを既に市場に提供している。この組み合わせにより、高密度ラック環境向けの効率的で信頼性の高い冷却ソリューションの提供を実現でき、DAA社のDC向けソリューションの中核となる。




