2025.11.11 AI需要衰えず、MLCC需給ひっ迫、太陽誘電は26年度もけん引期待

太陽誘電が商品化したAIサーバーの基板内蔵対応型MLCC

 人工知能(AI)を稼働させるサーバーを多数設置したデータセンター(DC)は、北米などで設備投資の過剰を懸念し「AIバブル」との言葉も聞こえるが、半導体を含む電子部品や製造装置を供給する日本企業では持続した成長を予測するところも少なくない。DC内の機器のノイズ除去などで重要な高性能積層セラミックコンデンサー(MLCC)を取り扱う太陽誘電は、2026年3月期は需給逼迫(ひっぱく)が続くと分析し、さらに27年3月期もAIサーバー需要をけん引役として期待する。

 同社の福田智光専務執行役員経営企画本部長は25年4~9月の業績について「8月時点の見込みと比較すると売上高は想定通りだが営業利益は上回った」と振り返った。販売価格の下落ペースが想定より緩やかだったため。6日に開催した26年3月期第2四半期(25年4~9月期)決算説明会で明らかにした。

 福田専務は「MLCCについてはサーバー関係、特にAIを含め比較的需給が逼迫してきている」と価格下落抑制の背景を分析してみせた。25年9月~26年3月も逼迫は続くとみて価格の急落は考えていない。MLCCは中国メーカーも台頭するが、太陽誘電が高付加価値製品を中心に展開していることを理由に「脅威として考えていない」と一蹴。中国でも高付加価値製品は「自動車、サーバーを含めて堅調」ともした。

 26年3月期の通期予想も実績と今後の需要予測をもとに上方修正。営業利益は5月の前回発表と比べた増減率で2桁台の伸びとした。27年3月期もAIサーバーを含む情報インフラ産業機器、そして自動車向け高付加価値MLCCがけん引するとみる。