2025.11.11 東京コスモス電機「アジアNo.1の可変抵抗器メーカー」目指す  ASEAN工場新設、生産移管も検討

新中計について語る門田社長

 可変抵抗器や車載用電装品を手がける電子部品メーカー、東京コスモス電機は2026年3月期~31年3月期の新中期経営計画を公表し、最終年度の売上高125億円、営業利益15億円を目標に設定した。10日に東京都内で開催した説明会では、門田秦人代表取締役社長兼取締役会議長が「アジアNo.1の可変抵抗器メーカーを目指す」と語った。同社として10年ぶりとなる新工場をASEAN地域に置き29年3月期の稼働開始を目指す。一部既存工場からの生産移管も検討する。

 同社は6月に前経営陣が解任となり、新たに投資ファンド代表を務める門田氏ら新経営陣が就任していた。

 門田氏は、前経営陣が定めた25年3月期~30年3月期の中期経営計画について説明。最終年度の売上高を135億円と掲げていたが、株式公開買い付け(TOB)を表明していた米電子部品メーカーBourns(ボーンズ)向けに示した目標値はより低い113億円だったとし、新経営陣による調査の結果、車載事業の需要減少を反映すると83億円になるとした。

 26年3月期は減収減益の見込み。背景として事業の継続性をやや度外視した人員削減、値上げ、可変抵抗器事業などへの投資抑制による利益率改善を挙げた。

 新中計は可変抵抗器事業の再生を重視する。車載も新製品開発も進めるが「花開くのに少し時間がかかる」として次期中期計画での成果を期待する。

 ASEAN地域の新工場は場所を含め検討中で、投資金額はまだ明かせないとした。同社は31年度までに23億円以上を投資する計画だが、うち最大10億円を工場新設を含む生産分野に充てる。

 M&A(企業の合併・買収)も視野に入れる。手元資金であるネットキャッシュ17億円や有利子負債を含む120億円の買収余力を想定し、利払い前、税引き前、原価償却前利益(EBITDA)10億~20億円規模の事業を新中計期間中に取得する方針。同社が手掛けていない分野の日本の製造業を対象に、既にASEAN地域に工場を持つのであればその知見も生かして新工場の早期立ち上げを図りたい考え。

 車載分野では完成車メーカーと直接対話、取引して収益力を高める「スーパーTier2メーカー」への昇格を目指すとしている。国際自動車産業特別委員会(IATF)による品質管理の国際規格認証取得による欧米顧客開拓も図る。

 組織体制は従来の営業本部、技術本部といった機能別から、26年1月に可変抵抗器事業本部、車載事業本部など事業別に変更する。技術開発を担う組織も事業ごとに分ける。

 32年3月期~36年3月期の次期中計では最終年度の売上高150億円、営業利益25億~30億円を見込む。

 26年3月期は2桁台の減収減益となる見通し。従来は米中両国の関税政策の影響などから合理的に算定できないとしていた業績予想だが、事業計画と販売見通しが立った。併せてボーンズ傘下のBourns Japan HoldingsとTOBについて結んだ両社の契約を解除したことも発表した。ボーンズ側がTOBに関する費用を含む損害について300万ドルの支払い請求は理由がないとした。

 門田氏は自身が社長として在任する期間は1年程度とみている。