2025.11.18 日本ガイシ、AI向け半導体支持材を本格拡大 「ハイセラムキャリア」生産能力3倍へ 30年度売り上げ200億円目標

ハイセラムキャリア

DS事業の強化を説明する小林社長 DS事業の強化を説明する小林社長

 日本ガイシは、AI(人工知能)や自動運転の普及で需要が拡大するチップレット集積対応のセラミック製半導体支持材「ハイセラムキャリア」について、生産体制を強化する。2027年度までに生産能力を約3倍に増強する計画で、2030年度には主に海外市場向けに売上高200億円規模を目指す。

 高性能半導体では大型化や発熱増大に伴い、樹脂やシリコン基板の加熱・冷却工程で反りや破損が課題となっている。ハイセラムキャリアは透光性に加え、高剛性・耐久性に優れ、反りの発生を抑制。従来比5倍の耐割れ性を備えることで歩留まり(良品率)改善やコスト削減に寄与する。素材には耐食性に優れたアルミナを採用し、繰り返し使用できる。

 製品バリエーションとして現在、四角形タイプを開発中で、従来品に比べ単価は上昇するが、生産効率向上により総合的なコスト低減を見込む。生産体制では、愛知県小牧市のNGKセラミックデバイスで照明設備を半導体向けに転用し、2026年3月に拡張エリアを稼働。山口県美祢市のNGKエレクトロデバイスでも成形・焼成設備を導入し、翌4月の稼働を予定する。

DS領域強化の切り札に
 NGKグループは2050年を見据え、カーボンニュートラル(CN)とデジタル社会(DS)の領域へ事業構造を転換中で、2030年には新事業で売上高1000億円以上の確立を掲げる。半導体分野は順調に拡大しており、次世代複合ウエハーや亜鉛二次電池などDS領域の重点施策の一つとして位置付ける。

 ハイセラムシリーズは屋内外照明用途で60年以上の実績があり、高温・高負荷環境でも安定稼働する点が強み。小林茂社長は「歩留まりは死活問題。量産レベルで唯一の技術として生産性向上に貢献したい」と述べ、AI向け半導体製造を支える重要部材として展開を加速する構えだ。