2025.12.26 インドでエアタクシー計画が着々進展、サルラ社が28~29年に商用フライトへ

eVTOLの開発に向けてピッチを上げるサルラ・アビエーション

 電気自動車(EV)に次ぐ新しい産業として「低空経済」という言葉に代表されるエアタクシーの商用化を目指す動きが中国で活発している。中国に追い付け追い越せと、世界最大の人口のインドでもスタートアップ企業がエアタクシーの実用化に取り組み始めた。

 先陣を切ったのは、2023年設立のサルラ・アビエーションだ。同社には、今年倒産したドイツのeVTOL(電動垂直離発着機)メーカー、Lilium(リリウム)に設計エンジニアとして、在籍したラーケッシュ・ガオンカル氏らが経営陣に名を連ねている。社名のサルラは、インド最初の女性パイロット、サルラ・トゥクラルさんに由来するという。

 サルラ・アビエーションは22日、南部のベンガル―ル(カルナータカ州)の自社施設で実機の半分の大きさのハーフスケールeVTOLデモ機「SYLLA   STY-X1」の地上試験を開始したと発表した。関係者は、インドにとって初の国産eVTOLの地上試験となり、インドのeVTOL市場飛躍に向けて大きく動き出したと、期待している。

 デモ機は、インドの民間企業が開発したeVTOLとしては最大で、最先端の技術を搭載している。完成までに要した期間は9カ月。STY‐X1は、15mの翼のフルスケール型「Shunya」に向けた設計検証用で橋渡し的な位置付けという。完成までの所要期間は約9カ月だったが、サルラ・アビエーションではShunyaによるベンガル―ル地域でのエアタクシーの商用フライト開始を28~29年に予定している。

 同社は、これまでに初期のエアタクシー計画の実施に向け、約1300万ドルを調達している。

 1月に明らかにした乗員で1人、乗客で6人を収容可能な「Shunya 」は、7基の電動推進ユニットを搭載することで、最大時速250㎞を実現できる。電池パック2個の搭載により、巡航距離150kmが可能になる。SAF(持続可能な航空燃料)向けタンクの設置により、ハイブリッド方式による航続距離は最大800kmまで可能だ。

 さらに量産用製造拠点の確保のため、アンドラ・プラデーシュ州に年間1000機の生産が可能な大型工場「Sky  Park」の建設に向けて、1300億ルピー(約2340億円)の投資計画も進んでいる。