2026.07.10 医療向け真空断熱製品を27年発売 レンズの曇り・汚れ防止 タイガー魔法瓶
真空断熱技術で鏡視下手術・ロボット手術現場での「レンズ汚れ・曇り」の課題を解決する「真空断熱スコープクリア」を開発(製品と実証実験での使用例)
タイガー魔法瓶は、創業から100年にわたり培ってきた真空断熱技術を応用し、鏡視下手術・ロボット手術現場におけるカメラレンズの曇りや汚れの課題を解決する医療現場向け専用真空断熱製品「真空断熱スコープクリア」を開発した。2027年の一般販売に向け、国内外の医療機関で実証実験を継続中だ。
真空断熱スコープクリアは、密閉ふたと真空断熱容器による高い保温力により、長時間の手術でも生理食塩水の温度を保つ。
専用設計したスタンドにより高い安定性を保ち転倒を防ぐほか、コンパクト設計により限られた手術台のスペースを圧迫しない。
また、スコープの出し入れが行いやすいよう、片手でスムーズに開閉可能な操作性(ワンハンド開閉)を実現する。
全部品(ふた・本体・専用スタンド)は、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)対応のため、使い捨て部品が発生せず、ランニングコストを大幅に削減し、環境にも配慮した設計となっている。
鏡視下手術は、患部を大きく切開せず、小さな穴からカメラ(内視鏡)や器具を入れて行う患者の体への負担が少ない手術手法。腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術などに代表される。
この手術で体腔内に挿入するスコープ(カメラ)を事前に体温程度まで加温しないと、結露による「曇り」が発生し、安全な視野が確保できない。
また、手術中に体液などでレンズが汚れた際は、都度スコープを抜去し、クリーニングする必要がある。
現在、多くの医療現場での対策として、加温した生理食塩水を真空断熱容器やヒーター付き容器に入れ、そこでスコープを温め・洗浄する「温水法」が取られている。
ただ、容器の種類により「手術中に転倒して水浸しになる」「ふたが開けっぱなしとなるため温度が下がりやすい」「使い捨て部品のランニングコストが高い」といった課題が残っていた。
同社は、医療従事者から「専門メーカーの技術で、これらの課題を解消するような、医療現場に最適な専用品を作れないか」という相談を持ちかけられたのを機に、長年培ってきた高い真空断熱技術と設計ノウハウを結集。現場課題を解決する専用真空断熱製品を開発した。
開発に当たり、国内外の医療機関で実証実験(計41症例)を実施した。
そのうち8症例を実証した中部徳洲会病院消化器外科の内間恭武消化器外科主任部長は「保温性能が高く、レンズの曇り防止効果も良好であることを確認した。特にロボット手術では安定した視野の確保が重要で、カメラの再加温やレンズ洗浄の頻度が減ることで、手術の円滑な進行に寄与する可能性がある」などとコメント。
また「繰り返し使用可能でランニングコストを抑えられる点や、環境負荷低減にもつながる点は大きな利点。今回の実証実験で得られた現場の意見を反映することで、さらに完成度の高い医療機器になることを期待したい」とする。
済生会横浜市東部病院泌尿器科(8症例)では、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた手術にも問題なく適用可能であることを確認。軽量・コンパクトな点、ランニングコストの面で高く評価した。手術担当医師からの満足度は90%を獲得している。
海外の現場でも25症例を実施。ブラジルのHospital Nipo-Brasileiroでは、「洗浄のためにカメラを取り出す回数が少なくて済み、手術の安全性が向上した」との評価を得て、満足度93%を獲得。高い導入意向を示した。
同社は今後、各事業者との連携を通じて販売網を構築し、27年中の一般販売開始を目指す。7月19~20日に開催される「第3回TokushukaiRobotic Seminar」(東京国際フォーラム)で、開発製品の展示も行う。









