2020.01.29 【水晶デバイス】日本電波工業
超低位相雑音特性の2016サイズTCXO「NT2016series」
低加速度感度TCXO開発
通常品の10倍の性能
日本電波工業は、次世代高速通信規格5Gの本格運用を踏まえた営業、製品戦略を展開する。また、自動運転に向けての需要増に対応している。
同社は、5Gでは高周波化が進展し、低雑音、高周波水晶振動子へのニーズに対して、高品質の原石を自社生産し、フォトリソ技術を生かして、平行平面ウエハー、微細加工技術から、超小型水晶デバイスを供給するという有利性を確保している。
5Gは、電波に載せる情報量が大幅に増加するため、振動や揺れなどの影響を受けやすくなることを考慮し、振動の影響を受けにくい低加速度感度のTCXOを開発した。
2016サイズと3225サイズでSTRATUM3規格・ITU-T TR-G8262規格に対応した高精度品の2種をラインアップ。加速度感度0.1ppb/G以下という低感度を実現し、通常の発振器と比較して約10倍の性能となる振動の低感度特性を実現した。
また、3225サイズで業界最高レベル57fsの低位相ジッタを実現した差動出力水晶発振器を開発した。高周波(100-170メガヘルツ)の基本波水晶振動子を開発するとともに、新たに低ノイズ設計された差動発振用ICを採用することでフロア雑音マイナス162dBc/ヘルツを実現。
新製品としては、1612サイズで業界最高のマイナス168dBc/ヘルツ・100キロヘルツ offsetの低位相雑音を実現したTCXO「NT1612AJA」を開発した。
5G基地局用としては、マクロ基地局/CU(センターユニット)向けで基準クロックとして高精度発振器が必要なことから、ホールドオーバー特性プラスマイナス1.5マイクロ秒を実現した25×22ミリメートルサイズのOCXOを用意。
DU(ディストリビュータユニット)向けとしては、イーサネット同期に低雑音、高精度発振器が必要なことから、周波数範囲10メガ-40メガヘルツで温度特性が100ppb/95度の高精度、高安定のTCXOを用意しているほか9×7ミリメートルサイズのOCXOを供給する。
5G関連端末はIoTに波及し、小型水晶デバイスの需要を押し上げる。水晶振動子では、1210から1008サイズへ、サーミスタ付き水晶振動子は1612から1210サイズへ、さらにTCXOも1612から1210サイズへと小型化シフトした。
自動車分野への5G応用も進展する。特にADASや自動運転関連で新たな用途が創出される。V2X、テレマティクス関連ではマイナス40-プラス125度の広温度範囲のTCXO、カメラ、レーダー/ライダー向けにミリ波レーダー用高周波クロック発振器を用意した。
車載安全系用途のクロック用水晶発振器では、2520サイズでマイナス40-プラス125度対応、AEC-Q100/200に準拠した製品を用意している。