2024.07.15 「見守り家電」あれもこれも 電気ポットや照明、エアコン 生活溶け込み異変キャッチ
象印マホービンの「みまもりほっとライン」使用イメージ
インターネットに接続して離れた家族を見守る「見守り家電」が広がってきた。ルームエアコンや冷蔵庫といった大型家電に加え、電気ポットやLED照明なども登場している。カメラによる直接的な見守りではなく、普段使う生活家電に機能を組み込むことでプライバシーにも配慮。高齢化の進展により、IoT技術と家電を融合した見守り提案が本格化している。
家電業界で見守り安否確認サービスにいち早く取り組んだのは象印マホービンだ。無線通信機を内蔵し、Wi-Fi接続が不要な電気ポット「iポット」を使った「みまもりほっとライン」を2001年にスタート。累計契約者は5月時点で1万4200件となった。
同社は長期にわたって蓄積したデータを活用し、フレイル予測(身体の衰えの変化)が分かるモデルの構築を検討。23年5月にはさまざまなサービスや機能を提供する基盤としてIoTプラットフォームを独自に構築し、みまもりほっとラインと合わせて運用している。今後は対応家電の裾野を広げる考えだ。
16年からIoT家電を展開しているシャープは3日現在、12カテゴリー・977機種までラインアップを増やしており、近く1000機種を超える見通しだ。
石川県能美市がサービスを開始した、国内初の複数メーカーのIoT家電によるマルチベンダー型「IoT高齢者見守りシステムサービス」にも協力。シャープの空気清浄機と三菱電機のエアコンでスタートしており、順次対象機器を拡大していく予定だ。
三菱電機も23年2月から、同社製エアコンや冷蔵庫、エコキュートで使用者の状況を把握する高齢者見守りサービス「MeAMOR(ミアモール)」を提供している。離れて暮らす両親など家族とのつながりによる安心感があり、「カメラでの監視ではなく、そっと〝見守る〟というコンセプトが良い」と好評という。
パナソニックは、LEDシーリングライトを利用した「あかりdeみまもりサービス」を6月21日から始めた。月額税込み880円で利用できるサービスで、Wi-Fiに接続したLEDの点灯状況から安否確認を「緩やかに」把握しようとするものだ。
高齢化に伴う独居老人の増加は社会課題の1つであり、「つながる家電」で離れた家族に安心を提供しようとするのが各社の狙いだ。シャープの菅原靖文常務執行役員スマートライフ&エナジービジネスグループ長は「IoTを活用して価値を高め、家電の進化の新たなステージを目指したい」と話している。