2020.06.16 【ルームエアコン特集】暑さ到来、販売に勢い新型コロナでテレワーク浸透 増設・買い替えに期待
エアコン売り場が活気づいてきた
6月になって梅雨が到来。主力市場の関東甲信でも11日に梅雨入りした。今夏の猛暑が予想される中、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が5月25日に全面解除され、家電量販店や地域電器店にも客足が戻りだしている。
暑さの本格化と合わせてエアコンの販売にも勢いがついてきた。新型コロナの影響で〝巣ごもり〟による新たな需要も出てきている。
5月第3週、東京では25度を超える夏日が続いた。東京都内を中心に店舗を構えるビックカメラではこの週、緊急事態宣言全面解除前であるにもかかわらず、エアコンの販売が急に増えた。その後は、全面解除による外出の解禁に加え、夏に向けて暑さが本格化してきたことで客足も伸びている。
エアコン商戦は暑くなるかどうかで勝負が決まる。今年は新型コロナの影響で、業績が振るわない企業も少なくない。夏のボーナス支給額が厳しいことも見込まれる。
通常であれば商戦も「厳しい」との見方になるが、今年は猛暑が予想されており、必要に駆られてエアコンを求める購入者層も増えそうだ。
さらに、これまでにない需要を喚起する要因として期待されるのが、テレワークだ。普段使用していない部屋をテレワークで利用していたが、そうした部屋にはエアコンが設置されていないケースも多い。
また、リビングでのテレワークでも、エアコンが古く快適性に欠けるために高級機に買い替えるなど「新しい需要が出てきている」(ビックカメラ)とする。
今年は新型コロナの影響で休校もあった。授業の遅れを取り戻すために、8月に授業を行う意向を示す自治体も出てきている。
例年であれば、夏休みとなる8月は家族旅行などが計画されるところだが、今年は自宅で過ごす家庭も多そうだ。その際、熱中症予防としても重要になるのが、エアコンだ。
除湿機能にも注目
梅雨シーズンの6月には、除湿機能も重要。除湿には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」があり、上位機種であればどちらの機能も搭載している。弱冷房は湿度を下げるために室内機の熱交換器で空気を冷やして、冷えた空気をそのまま室内に戻す。そのため、冷房効果もある。
一方、再熱除湿は、湿度を下げるために室内機の熱交換器で空気を冷やすところまでは弱冷房と同じだが、室内に空気を戻す前に、空気を温めて適度な温度にしてから戻す。
室温を下げることなく快適さを保てる。快適性は高いが、空気を温めるために省エネ性には若干欠ける。
これら梅雨に活躍する機能は、状況に応じた使い分けが大事になる。衣類乾燥モードを備える機種もあり、梅雨時期もエアコンは意外な活躍を見せる。
使い勝手が向上
IoT化も進んだことで、エアコンはますます使い勝手が良くなっている。帰宅前に電源を入れてあらかじめ室内を冷やしておくことも可能だ。
直接冷気を当てない気流制御など、IoT化だけでなく、快適性を高めるための技術開発は続いており、付加価値の高い機種を求めるユーザー層が広がっている。
早めの購入を提案
ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京都千代田区)では、5月下旬に対して6月上旬のエアコン販売が2倍に増えている。扇風機も3倍になるなど、夏物商材の動きが顕著だ。
こうした動きは今後、さらに加速していく。エアコン設置は既に1週間近く待つような状況にもなっている。例年と異なる夏となりそうなだけに、メーカー側も早めの購入を提案している。