2025.11.12 米Jabil タイにBESS筐体工場合弁を設立
JabilとInnoによる新工場の起工式
EMS(製造受託企業)の大手、米Jabil(ジェイビル)は、タイの金属部品メーカーInnoと合弁で電池エネルギー貯蔵システム(BESS)向けのコンテナ型エンクロージャー(筐体〈きょうたい〉)工場を現地に建設し、3日に起工式を行った。
Innoは中国の金属メーカー、上海新朋実業(XP)の子会社。ジェイビルとInnoは、タイ東部のラヨーン県に1万5000㎡の敷地を確保、2棟からなる工場を共同で建設する。両社によると、2026年後半までにプロトタイプの生産をスタートさせる。新工場はタイ最大の港、レムチャバン湾から約25km離れた場所に位置する。
BESSはフレキシブルで強靭(きょうじん)なエネルギー蓄積システム。再生可能エネルギーの発電が拡大し、ビル、運輸含め各種産業で電力需要が増大するにつれ、BESSはエネルギーの蓄積ばかりでなく、電力需要のピークの間、電力線を安定化させるのに重要な役割を果たしている。
ジェイビルとInnoが共同設立したラヨーン県の工場では、原材料と溶接コストにより総システム価格の大きな部分を占めるBESS用の金属筐体を生産する。従来、BESSのメーカーは筐体を中国から調達し、その後は最終市場に近いBESSメーカーに筐体を送り、最終統合してBESSを製品化してきた。
今回、両社による協業拡大により、ジェイビルは顧客であるBESSメーカーに板金加工、構造加工、溶接、塗装などを請け負い、筐体完成までの工程を引き受ける。
ジェイビルは、14年からXPと協業関係にあり、エネルギーや通信、データセンター、ヘルスケアなど多数の分野で機械設計や製造サービスを提供。EMSとしての役割を果たしている。ジェイビルにとってタイへの投資は、地政学的な不安要素が拡大する中で、サプライチェーンの多様化の一環でもある。










