2025.11.20 オランダ政府、中国系ネクスペリアへの介入一時停止 半導体不足緩和へ
暫定CEOにとどまるステファン・ティルガー氏
中国資本の半導体メーカー、Nexperia(ネクスぺリア)は19日、オランダの「物資供給法」に基づく管理措置の介入を一時中止するとの通告を同国の経済省から受け取ったと発表した。
この結果、オランダ政府が安全保障上の観点から同社を管理下に置く措置が一時的に停止されることになり、中国で生産する同社の半導体輸出も増える見通しだ。ただ、CEOなどネクスぺリアの経営陣の復帰については結論が先送りになっている。アムステルダム裁判所の命令により解任された同社トップ、張学政(ウィング・チャン)CEOの復帰は承認されず、ステファン・ティルガー最高財務責任者(CFO)が引き続き暫定CEOにとどまる。
事の発端は9月にさかのぼる。ネクスぺリアは元来、自動車や家電向けの汎用(はんよう)半導体を生産するオランダ企業だったが、2018年に中国資本の聞泰科技(Wingtech)に買収された。しかし、オランダ政府が今年9月、「国家安全保障上深刻な影響」と「技術流出のリスク」を理由に同社製品の輸出禁止や経営権を掌握し、トップ人事の交代など人事にも介入した。反発した中国政府は10月、広東省東莞市などにある同社工場で生産されている半導体製品の輸出規制を行っていた。
中国側は11月に入って、基準に沿った民生用半導体に限って禁輸措置を免除しており、双方和解の機運が出ていた。
ネクスぺリアの輸出停止で大口ユーザーである世界の自動車メーカーが苦慮。日産自動車やホンダが生産を減らし、欧州自動車工業会(ACEA)も「域内の自動車メーカーがネクスぺリアの輸出停止で非常に苦慮している」(シグリット・フリース事務局長)とコメントした。
オランダ政府のカレマンス経済相は、「今回の決定は欧州とそのほかの地域との半導体サプライチェーンの確保につながる。今後とも中国と継続的に話し合う」と語った。










