2026.01.24 東芝、HDD大容量化を後押し 「スピントルク発振素子」の状態解明で世界初の評価手法
「MAS-MAMR」の記録動作と評価手法のイメージ図
東芝は、ハードディスクドライブ(HDD)の大容量化を後押しする次世代技術「共鳴型マイクロ波アシスト磁気記録(MAS‑MAMR)」向けに、磁気ヘッド内の「スピントルク発振素子(STO)」の発振状態を詳細に解析できる世界初の評価手法を開発したと発表した。膨大なデータを低コストで保存できるHDDのさらなる記録密度向上につながる成果として注目を集めそうだ。
MAS‑MAMRは、磁気記録媒体にマイクロ波を照射して記録を助ける方式で、HDDの大容量化を促す可能性がある有望技術とされる。その実用化に向けては、最適なマイクロ波を得るためにSTOの発振状態を正確に把握し、設計に反映することが求められるが、従来はその詳細な解析が困難だった。
そこで今回、物質・材料研究機構との共同研究により、STOの発振状態を直接評価できる革新的な手法を開発した。STOの動作理解を深めることで、MAS‑MAMR技術の進化に貢献したい考えだ。
生成AI(人工知能)の普及などのデジタル化の進展を背景に、データ量が急増している。HDDは2024年に出荷容量が1ゼタバイト(ZB)を突破。市場規模は30年に320億ドルに達すると予測され、特にデータセンター向け大容量ニアラインHDD市場が伸び続ける見込みだ。そのためHDDには、今後も一段の大容量化が求められている。
この大容量化を実現する鍵となるのが、新しい記録方式であるエネルギーアシスト磁気記録技術だ。東芝は、磁気記録媒体にマイクロ波を照射するMAS-MAMRと、熱を加えるHAMRという二つのエネルギーアシスト技術の開発を進めている。MAS-MAMRで記録密度を高めるためには、「マイクロ波の安定性・周波数・強度・振動方向」といった要素が重要で、その源となるSTOの発振状態を解析・理解することが、HDDのさらなる大容量化に不可欠だった。
今後は、STOの挙動理解を促し、STO設計の改良とMAS-MAMR技術の進化に寄与していく。東芝は「MAS-MAMR技術とHAMR技術の両輪で次世代の大容量HDD開発を加速し、急速に拡大するデータセンターや生成AIなど、多様化するストレージニーズに応えるソリューションを提供していく」としている。







